まずはお気軽にご相談ください
目次
自己破産で差し押さえられるものについて知りたい方はこちらの記事へ
自己破産で差し押さえられるものは?残す方法はある?対象の財産一覧
自己破産をしても生活保護は受けられる
自己破産および生活保護とはどのようなものなのかについて、詳しく説明します。
自己破産と生活保護の目的
- 自己破産
借金が膨らみ返済できなくなったときに、裁判所へ申し立てを行います。
そして、自分が所有する財産を債権者に差し出すことで、債務の支払いを免除してもらうという制度です。
- 生活保護
自分の力では最低限度の生活も送れないほど困っている人に対し、国が「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」制度です(憲法25条)。
「病気やケガなどで働くことができない」「最低の生活費に充当するだけの預貯金や財産がない」など一定の条件を満たしていれば申請可能で、最低限度の生活費が生活保護費として支給されます。
そして、自分が所有する財産を債権者に差し出すことで、債務の支払いを免除してもらうという制度です。
自己破産については、いつでも行うことが可能です。
生活保護受給中であっても自己破産はできますし、自己破産後に生活保護を受給することもできます。
また、自己破産と生活保護の手続きを一緒に行うことについて規制があるわけではありませんので、両方同時に手続きすることもできます。
ただ、一定の収入や資産があるにもかかわらず、借金がそれを大きく上回って返済できなくなった場合は、自己破産をして借金の返済を免除してもらうことで、その後の生活を立て直すことができます。
この場合は、自分の力で最低限度の生活が送れないわけではないので、生活保護を受けることは難しいでしょう。
生活保護を受ける要件
生活保護を受けるためには、以下の5つの要件を満たす必要があります。
- 病気やケガなどで働くことができない
- 職を失っており、収入がない。もしくは収入があったとしても最低の生活費に満たない
- 最低の生活費に充当するだけの預貯金や財産がない
- 家族や親族などからの金銭的支援を受けることができない。もしくは受けることができたとしても最低の生活費に満たない
- 生活保護以外の国の補助もしくは支援制度を利用できない
生活保護を受けながら自己破産以外の方法は受理されにくい
たとえ借金の額が少額でも、生活が困窮する状態であれば自己破産を選択するのが通常ですが、もちろん任意整理や個人再生を選択することもできます。
また、生活保護の給付金の用途は特段制限されていないので、理屈的には給付金を利用することができないわけではありません。
とはいえ、世間の見解は「任意整理や個人再生を利用して借金を返済する場合は、あくまで自分の力で」となっています。
任意整理や個人再生を申請したとしても、受理される可能性はとても低いでしょう。
自己破産の手続きはいつでもできる|Q&A
よくある質問についてお答えしましょう。
「生活保護を受給していると自己破産ができないの?」
生活保護を受けている最中でも自己破産はできますし、自己破産をした後に生活保護を受けることもできます。
また、自己破産と生活保護の手続きを一緒に行うことに規制はないので、両方同時に手続きすることもできます。
なお、生活保護受給中の人の借金問題の解決においては、自己破産を行うことが一般的です。
「もう一度自己破産はできるの?」
自己破産には回数制限や金額の制限はないので、生活保護を受けていて2回目以降の自己破産を行うことも可能です。
ただし、前回の自己破産から7年が経過していて、破産の理由は前回と異なるなどの条件をクリアした場合に認められます。
自己破産の前と後どっち?生活保護を申請するタイミング
自己破産の手続きはいつでも申請することが可能ですが、生活保護の申請前と後のどちらで行うのがいいのかについては、ご自身が置かれている状況によって異なります。
判断に迷ったときは専門家に相談するといいでしょう。
自己破産を手続きしてから生活保護を申請
自己破産をしてから生活保護を申請する場合でも、要件を満たす方であれば問題なく生活保護を受けられます。
生活保護を受ける前に借金問題を解決しておくことが望ましいとアドバイスするケースワーカーもいて、一般的には、先に自己破産の手続きを開始する方が現実的といえます。
なお、生活保護費を借金返済に充てることは、常識を逸脱した行為ですので絶対に行わないようにしましょう。
生活保護を申請してから自己破産手続き
生活保護の受給中に自己破産をしても問題ありません。
なぜなら、自己破産をしたことで新たな収入が生まれることにはならないからです。
自己破産をしても通常通りの保護を受けることができますし、生活保護の受給者であれば、自己破産にかかる費用を免除できる可能性もあります。
生活保護者は自己破産費用が免除される
生活に困窮している人が自己破産を行うときにも費用は発生します。
生活保護を受けている人は、その費用が免除される制度を使うことができます。
自己破産の手続きで必要な費用
自己破産の申立をする際に必ず発生するのは裁判所費用です。 20万円以上の財産の有無によって異なりますが、裁判所費用は1~20万円程度です。
この他に、弁護士や司法書士に依頼すればその報酬がかかります。 弁護士費用は事務所によって異なりますが、30万円~50万円程度とされています。
生活保護者が免除されるのは弁護士費用と予納金
自己破産費用をどうしても用意できないほど生活に余裕がない人は、法テラスの民事法律扶助制度を検討してみるのも方法です。 自己破産の際にこの制度を利用すると、弁護士費用を立て替え払いしてもらえます。
法律扶助制度は立替金という形で援助しているので、通常であれば、弁護士や司法書士の報酬や裁判所への予納金(上限20万円)は返す必要があります。
ですが生活保護を受けている場合は、破産手続中に予納金の返還を猶予してもらえます。 そして、自己破産の手続を終えた後も生活保護を受けている場合は、予納金の返還が免除されます。
法テラスの民事法律扶助制度を利用する際、必ず法テラスに申し込まなければならないという決まりはありません。
「持ち込み方式」といって、法テラスと契約している弁護士が、法テラスに民事法律扶助制度の利用を申し込むことができます。
「持ち込み方式」を使うことで、自分で弁護士を選ぶことができ、さらには早期解決が期待できるというメリットがあります。
自己破産者が生活保護を受けるときの注意点
自己破産者が生活保護を受ける際におさえておくべき注意点をここで確認しておきましょう。
生活保護費で借金の返済はできない
生活保護費は最低限の生活を保障するための費用です。
借金の返済に使うことは禁じられていますし、もし、そのような行為が発覚すれば、条件によっては生活保護を受けられなくなる可能性もあります。
生活保護を隠して借金はできない
お金を借りる際には、銀行や消費者金融会社の審査が必要です。
生活保護を受けている場合は、返済能力が不安視され、審査に通ることは難しくなるでしょう。
もし、生活保護を受けていることを隠して借金の申し込みを行い審査には通ったとしても、必ず何らかのタイミングでバレてしまいます。
嘘を言っていたことが知られれば虚偽の申告をしたということになり、生活保護を受けられなくなったり、給付金の返還を求められたりする可能性が出てきます。
どうしても一時的にお金が必要なときは、お住いの自治体が行っている貸付の利用を考えてみましょう。
不正受給は免責されない可能性もある
不正受給が発覚した際、本人の勘違いなどで不正受給になっていた場合は「返還金」という扱いになります。
「返還金」は免責対象となりますので没収されることはありません。
しかし、明らかに不正受給を目的とした悪質なケースであれば、「徴収金」として扱われます。
「徴収金」は支払い義務が免除されず、免責の対象になりません。
生活保護の不正受給は、裁判所に悪質と判断されれば刑事罰が科されますので、絶対に行わないようにしてください。
生活保護者にも返済の督促はある
生活保護の受給が開始したからといって借金が消滅する訳ではありません。
したがって、生活保護を受けていても借金の返済の催促はあると思ってください。
借金の返済ができそうにないのであれば、早めに自己破産の手続きを開始することをおすすめします。
自己破産が生活保護にどう影響するのかを司法書士が動画(約6分)で分かりやすく解説していますので、よければご覧ください。
まとめ
自己破産と生活保護は、どちらも経済的に困っている人を救済するための制度であり、それぞれが独立しています。
生活保護を受給していても自己破産はできますし、自己破産の後に生活保護を受けることもできます。
生活保護を受給中の自己破産であれば、法テラスを利用して、自己破産の裁判や弁護士費用が免除される可能性もあります。
それぞれの制度の特徴をしっかりと理解し、上手に活用しながら生活の立て直しを図っていきましょう。
2022.04.14
まずはお気軽にご相談ください