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自己破産で差し押さえられるものは?残す方法はある?対象の財産一覧
自己破産をしても結婚はできる
結論から言いますと、そもそも自己破産をしても結婚を制約することはありません。
自己破産の仕組みを知ると、結婚できることが理解していただけると思います。
自己破産で結婚が制限されることはない
自己破産で影響を受けるのは、
「お金を借りた人」
「お金を貸した人」
そして「その契約を保証した人」
だけです。
したがって、そのような立場にいなければ基本的に影響を受けることはありません。
さらに言えば、自己破産後は「お金を貸した人」や「保証人」が「お金を借りた人」に対して嫌がらせなどをする行為(これを「報復行為」といいます)は法律で禁止されていますので、そのような心配もありません。
自己破産して結婚後に生じるリスク
自分が自己破産した場合は、結婚後に生じるリスクには次のようなものがあります。
- クレジットカードやローンの申し込みができない
- 保証人になることができない
- 一時的に仕事ができなくなる可能性がある
一方で、相手が自己破産した場合は、基本的に結婚後に自分に直接的に生じるリスクはありません。
ただし、自己破産者である結婚相手は上記1~3のようなリスクを負うことになります。
相手名義のローンが組めないなどの他、共同名義で家を買うときには審査で多少なりとも影響があると思っておいた方がいいでしょう。
自分が自己破産して結婚後に受ける影響
では、自分が自己破産した場合に、結婚後の生活にどのようなリスクが生じるのでしょうか。
詳しくご説明しましょう。
財産が処分される
自己破産は、裁判所に破産申立書を提出し、支払いが不可能であると判断されると免責許可が下り、そこですべての借金が免除されます。 その際、持っている財産はお金に換え、「お金を貸した人(債権者)」に公平に分けられることになります。
20万円以下の預貯金などは手元に残すことができるので、持っているすべての財産を手放すわけではありません。
しかし、残せるお金が少ないことから、「結婚後の生活資金に余裕が持てないかもしれない」という不安は少なからず生じます。
カードが作れない
自己破産をした場合、事故情報として信用情報機関に記録が載り(いわゆるブラックリスト)、その情報は5~10年は消えずに残ります。
クレジットカード会社は、申し込んだ人の信用情報を必ずチェックします。
もし信用情報に傷(事故情報の記録)があることが分かれば、カードの審査には通らず、クレジットカードは発行されません。
ローンが組めない
ローンの審査に関しても、クレジットカード同様に信用情報の照会を行います。
自己破産をしたという情報が残っている間はローンの審査に通らないので、例えば車を買おうとした際にローンが組めないなど、審査が必要なローンを組むことは出来ません。
借入ができない
新たな借入も、信用情報機関に自己破産の情報が載っている限りは認められないと思ってください。
中には、小規模の消費者金融などで信用情報の照会をせずにお金を貸してくれる金融業者もあります。
ただ、金利が高めに設定されていることが多いので、余程の急な必要性がない限り利用はおすすめできません。
仕事の制限がある
あくまで自己破産の手続き中のみの話ですが、免責決定があるまでは、例えば以下のような職業に就くことができません。
例えば
- 弁護士
- 公認会計士
などの士業や、
- 証券会社の外交員
- 生命保険募集員
また、免責決定があるまでは、次のような役割につくこともできなくなります。
- 代理人
- 後見人
- 後見監督人
- 保佐人
- 補助人
- 遺言執行者
これらは制限される職業の一部で、他にも就けない仕事が細かく定められています。
免責決定があるまでとは言っても、その期間は一般的に半年間と言われています。
その間に職業や役割に就けないとなると、結婚生活に全く影響が出ないとは言えないでしょう。
相手が自己破産して結婚後に受ける影響
相手が自己破産者だった場合はどうなのか、詳しくご説明しましょう。
自己破産の直接的な影響は受けない
基本的に、結婚後に生じるリスクはありません。
しかしこれはあくまで直接的な影響ということです。
相手の財政事情の影響は受ける
結婚するということは生活を共にするわけですから、相手の金銭面の影響は少なからず受けることになるでしょう。
自己破産をすると、20万円以上の財産は処分されますし、破産の手続きを行った後に残せる財産は、あらかじめ決められています。
具体的には
- 99万円未満の現金
- 残高が20万円以下の預貯金
- 20万円以下(見込み額)の生命保険の解約返戻金
などの自由財産のみを残すことができますが、それ以外は没収されてしまいます。
また、信用情報に傷がある期間中は、各種ローンや借入、クレジットカードの作成などができないうえ、保証人になることもできません。 家族がローンを申し込もうとしても、その保証人にはなれないのでその家族の名義でローンを組むことなどは難しくなるでしょう。
賃貸に住み続けることはできる
自己破産した相手が持ち家に住んでいた場合は、その家は没収されますが、賃貸住宅に住んでいた場合は、自己破産を理由に退去させられることはありません。
自己破産を理由に退去を強いられることは違法ですから、それまで通り住み続けられます。
自己破産で想定される子供への影響
「産まれてくる子供に影響はあるのかな?」
「影響あるとしたら、それは避けられないの?」
結婚するとなると、このように、産まれる子供への影響も心配になるかもしれませんね。
起こりうるリスクを事前にきちんと理解することで対策も考えられますので、ここでしっかり把握しておきましょう。
子供に影響しないこと、考えられる影響
基本的に、親の自己破産によって次のことをできなくなることはありません。
- 進学する
- 就職する
- 子供がクレジットカードを作る
- 子供がローンを組む
子供に考えられる影響があるとすれば、
- 教育ローン
- 奨学金
といったところです。
子供に考えられる影響への対処法
- 教育ローン
親が名義人となることから、何かしら影響があるのかと考えがちですが、ローンを組めないのは自己破産した本人だけです。
自己破産をしていない方が名義人になればローンを組むことができます。 - 奨学金
自己破産した親は保証人になることはできないため、もらうことができないと思いこんでしまう方が多いようです。
ですが、自己破産していない方の親なら保証人になれるので、その心配はありません。
また、自己破産したという信用情報は5~10年で消えます。
したがって教育ローンや奨学金は、信用情報の事故情報が既に消えている頃に必要になるという可能性の方が高いといえます。
そして、教育ローンや奨学金が必要なときに信用情報に傷がなければ問題ありません。
事故情報が消えていれば、自己破産した方の親の名義で教育ローンを組むこともできますし、保証人になって奨学金を受け取ることも可能です。
自己破産後の結婚生活で見落とせない注意点
ここまで、自己破産によって結婚後に生じるリスクについて説明してきました。 実は、次のようなことにも注意が必要です。
保証人になると影響は受ける
基本的に、相手が自己破産した場合の結婚後に生じるリスクはありません。
ただし、自分が相手の保証人になっていた場合は話が別です。
保証人になっている場合は、相手が自己破産した後、相手の借金を代わりに返済する義務が生じます。
そこで返済できなかった場合、自分も信用情報機関に「お金を返さなかった」という事故情報が載ることになります。
そうなると、相手と同様に、自分も今後クレジットカードやローンの申し込みなどができなくなってしまいます。
保証人になるということは、かなりのリスクが発生するものであるということを、肝に銘じておきましょう。
生活を共にしていればバレる可能性はある
基本的に、自分から言わない限り、自己破産したことが結婚相手にバレることはありません。
ただし、官報(自己破産すると名前や住所が載る公的な書類)に掲載されることから、そこから分かる可能性はあります。
とはいえ、官報を日常的にチェックしている人は少ないので、そこまで不安に考える必要はありません。
ただ、車を買おうとしたときにローンが組めなかったり、クレジットカードが作れなかったりという状況を相手が知った際に、疑問に思われる可能性は十分にあります。
同居していない親族にまで話す必要がありませんが、一緒に暮らしている相手であれば、事前にきちんと話して理解を得ておくことが大切です。
まとめ
自己破産によって結婚を制限されることはありません。
ですが、自己破産をすると、事故情報が消えるまでの数年間はクレジットカードやローンの契約ができず、家族の保証人になることもできません。
その点からは、結婚後の家族の生活に影響が全く出ないとは言い切れません。
ただ、影響を受けるとしても一時的なことです。
起こり得るリスクの対策を取っておけば、夫婦で協力して生活していくことで解決できます。
2022.04.14
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