2020.09.07更新

自己破産をするには裁判所でどんな手続きを行えばいいの?

専門家に頼らないで自己破産することはできるの?
自分で自己破産することになったらどんな手続きをすればいい?

自己破産の手続きを弁護士や司法書士に依頼するには高額の費用がかかります。

自己破産を考える資産状況であれば、専門家に頼らずご自身で進めたいと思われるのも当然でしょう。

結論から言えば、自力で自己破産をすることは可能です。ただし、必要な書類の準備や裁判官との面談などをすべて一人で行うのは簡単なことではありません。

ここでは裁判所に行く回数や手続きの流れなど、自力で自己破産をするための具体的な内容についてご説明します。

自己破産をするには裁判所に行く必要がある

手続きのためとはいえ裁判所へ行くのは気が重いものですね。

しかし、自己破産をするにはいかなるケースでも原則的に債務者本人が裁判所へ出向くことになります。

なぜなら、債務者が出頭しないと“非協力的”とみなされ、裁判所からの評価が下がる可能性があるからです。

特に、後にご説明する「免責審尋」は債務者の意思を確認して免責判断をする重要な場。

手続きを有利に進めて免責許可を得るためにも、本人が裁判所に行く必要があるのです。もちろん、出頭回数やかかる期間・費用などは手続きの内容によって異なります。

自己破産の手続きは大きく分けて

  • 同時廃止事件
  • 管財事件

の2種類。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。

同時廃止事件の場合

「同時廃止事件」は、債務者の財産が少なく、借金を抱えた事情に問題がないなどの場合に取られる手続きです。
個人で自己破産をする方の約6割がこちらに該当するといわれています。

債権者に分配する財産が少ないため破産管財人が選任されることもなく、破産手続の開始とともに破産手続は終了(廃止)。

申立てから免責許可・不許可の決定までにかかる期間は3~4ヶ月、準備期間を含めても大体6ヶ月ほどで、費用は1~5万円が目安です。

裁判所に行く回数は、状況によって変動しますが2回程度となるでしょう。

同時廃止事件の特徴
換価しない財産 20万円未満
※預貯金など財産ごとに判断される
免責不許可事由 ない場合
期間 6ヶ月程度
裁判所への費用 1~5万円程度
裁判所に行く回数 2回程度

※管轄裁判所の運用により取り扱いが異なる場合があります。

管財事件の場合

「管財事件」は、自己破産の申立てをした際に原則的にとられる手続きです。

破産管財人が債務者と債権者の間に入り、免責に関する調査や財産の分配などを行います。

申立てから免責許可・不許可の決定までには約6ヶ月間、準備を入れると期間はトータルで1年程度。

破産管財人の選任や分配手続きにお金がかかるため、費用は同時廃止事件よりも高く、50万円以上と考えておいた方がよいでしょう。

裁判所には、少なくとも3回は出向くことになりそうです。

管財事件の特徴
換価する財産 20万円以上
※預貯金など財産ごとに判断される
免責不許可事由 あり、または、ある可能性が高い場合
期間 長い(6ヶ月~1年)
裁判所への費用 50万円〜
裁判所に行く回数 3回程度

自己破産の手続きの流れ

自己破産をする場合、破産手続き(破算手続き開始の申立)と免責手続き(免責許可の申立)を並行して進めることになります。どちらか一方だけでは借金をなくすことはできないからです。

自己破産の手続き
破産手続き 債務者の財産を債権者に分配すること。
免責手続き 残った借金を免除するかどうかの判断をすること。

では、自己破産を決意してから実際に借金が免除されるまでにどんな手続きが必要になるのでしょうか?具体的な流れを見ていきます。

自己破産手続きの流れイメージ

(1)必要書類を準備する

裁判所に自己破産を認めてもらうには、債務者に資力や支払い能力がなく、免責不許可になる事由も存在しないことを証明しなければなりません。

その証明をするために必要なのが裁判所に提出する書類です。

代理人を立てた場合は必要書類の指示や一部の作成を専門家が行いますが、自力で自己破産をする場合はすべて債務者本人が行います
下記一覧の書類を不備なく揃え、虚偽なく記入してください。

破産申立てに必要な書類
書類の種類 入手先
破産手続開始・免責許可申立書 裁判所
陳述書 裁判所
債権者一覧表 裁判所
住民票 市区町村役場等
申立日前1ヶ月間の家計簿等 自身で作成または家族から
給与明細(2~3ヶ月分) 勤務先
源泉徴収票の写し
※納税証明書、非課税証明書で代替可能
勤務先
※納税証明書、非課税証明書は市区町村役場等
債務者の財産目録 裁判所
預金通帳の写し 無通帳取引の場合は記録を銀行またはインターネットで入手

また、状況によっては以下の書類を求められる場合もあります。

状況によって必要となる書類
書類の種類 入手先
車検証・自動車税の申告書等車の名義の証明書類
土地家屋の登記簿謄本
保険証書など保険契約を証する書類
退職金見込額証明書 勤務先
株・FXなどの取引明細 証券会社・またはインターネットでの取引記録のプリントアウト
その他、裁判所から提出を要求された書類

(2)地方裁判所に破産手続開始・免責許可を申し立てる

住所地を管轄する地方裁判所(またはその支部)に書類を提出し、「破産手続き開始の申立」と「免責許可の申立」を同時に行います。

住民票を移していないなどの理由で住民票の住所と現住所が異なる場合は、現住所を管轄する地方裁判所(またはその支部)に申立てをします。

地方裁判所は都道府県庁所在地と旭川市、釧路市、函館市の計50ヶ所に本庁があり、そのほか203ヶ所に支部が設けられています。

住所地を管轄している地方裁判所は裁判所のホームページで確認するとよいでしょう。

債務者本人が申立てを行った場合は、破産手続開始決定が出る前に、裁判所で裁判官と面接をする「破産審尋」が行われます

弁護士に依頼していれば、書類提出時に弁護士が代理人として裁判官と面接したり、審尋そのものが不要となったりするケースがほとんどです。

しかし、自分で申立てをする場合は債務者本人が裁判所へ出頭することになります。

(3)破産手続き開始が決定される

「破産審尋」で問題がないと判断されれば、裁判所は破産手続開始を決定

破産手続き開始の決定とは、「債務者の破産手続きを始める」と裁判所が決定することをいいます。

同時に、債務者の破産手続きが「同時廃止事件」と「管財事件」のどちらになるかも決まり、その情報は債務者の住所や氏名と共に官報に公告されます。

債権者には裁判所から通知書が送られ、それ以後の取り立て行為は禁止に。

取り立てからはここで解放されることになるでしょう。

そして、官報広告から2週間後に破産手続き開始が確定した時点で、債務者は「破産者」となります。

●同時廃止事件の場合

破産手続き開始決定と同時に破産手続きは終了(廃止)です。

●管財事件の場合

破産管財人が選定され、破産者の財産や債権者、免責不許可事由の調査がスタート
破産者は破産管財人との打ち合わせや債権者集会への参加を求められるとともに、郵便物の受け取りや転居を制限されることになります。

なお、債権者集会では債権者への配当が決定。

すべて配当されて終了する場合(破産手続終結決定)と、財産がなく配当できずに終了する場合(破産手続廃止決定)があります。

(4)裁判所に行き、「免責審尋」に参加する

免責許可・不許可の判断をするために裁判所が破産者から事情を聴くことを「免責審尋」といいます。
弁護士を代理人として申し立てた場合でも、破産者本人が裁判所へ出頭して裁判官から直接質問を受けるケースが多いようです。
借金の理由がどうであれ、ここでは正確な情報を伝えましょう。

●管財事件の場合

債権者集会で破産管財人が免責についても意見し、その場で免責審尋が行われることもあります。

(5)免責の許可または不許可が決定される

免責審尋から約1週間後に、免責許可または免責不許可が決定します

免責許可決定後、2週間ほどで官報に掲載され、掲載日翌日から2週間以内に債務者、債権者らに免責許可決定を送達。
翌日から1週間以内に債権者より即時抗告(異議申立て)がなされなければ免責許可決定が確定し、債務の支払い責任は免除されます。
一度免責されると、その後7年間は原則として再度免責を得ることはできません

免責不許可となった場合、申立てをした地方裁判所を管轄する高等裁判所に対し即時抗告することが可能。
決定が覆らなければ別の債務整理方法を検討することになるでしょう。

破産手続開始・免責許可の判断のために裁判所が確認する内容とは

破産手続開始決定が下されるかどうか、また、免責許可・不許可の判断は、裁判官や破産管財人との面談によって決まります
それぞれの面談では債務者についてどんな情報を確認されるのでしょうか?

破産審尋で確認される内容

破産手続開始・免責許可の申立ての後に行われる裁判官との面談「破産審尋(債務者審尋)」では、主に提出した書類の疑問点や補足的な内容について質問されます

債務を果たせない事情や、現在の収入・生活状況をあらかじめ陳述書に詳しく書いておき、審尋では裁判官の質問に対し、陳述書に書いた内容について正直に答えましょう。

破産管財人による調査内容(管財事件のみ)

管財事件の場合、債権者集会の前に破産管財人による調査が行われます。

調査内容は債務者の財産や債権者の情報、免責不許可事由の有無など破産手続きに関するさまざまな事柄

調査に先立って行われる面談では、破産に至る事情を細かく聞かれたり、追加書類の提出を求められたりする場合があります。

破産管財人はこの面談と調査をもとに、過払い金の回収、財産の現金化および債権者への分配などを行い、債務者の破産手続きをサポートしてくれるのです。

債権者集会で確認される内容(管財事件のみ)

債権者集会では、債務者との面談や調査の結果を、債権者に報告・説明することが主な目的となります
債権者といっても貸金業者が出席することはほぼありません。

個人債権者が参加して意見や質問を述べることはありますが、回答は破産管財人が行います。

免責審尋で確認される内容

免責審尋は、基本的に申立書の内容確認にとどまるケースが多く、数分程度で終了することがほとんど

もし破産に至る経緯に問題がある場合でも、その後の債務者の態度が考慮されれば免責許可決定が出されることもありえます。

免責不許可事由に該当するケースであっても、心から反省して正直に話すことが大切です

弁護士や司法書士に相談してみよう

ここまでご説明した通り、自己破産を自力で行うには大量の書類を揃えたり裁判所へ出向いたりする必要があり、非常に多くの時間と労力がかかります

そのため、専門家の手を借りずに自己破産を申し立てる人はごくわずか。

日本弁護士連合会の調べでは、約84%が申立代理人として弁護士を立て、約13%が司法書士に依頼しており、すべて自力で行う人は3%程度ということです。

弁護士や司法書士に依頼することには以下のメリットがあります。

法律の専門家の意見を聞くことができる

弁護士や司法書士は法律のエキスパート。

免責に向けて問題になりそうな点や、クリアするためにすべきことなどを、専門家の立場からアドバイスしてもらえます

複雑な手続きを任せることができる(※)

弁護士には必要な書類の準備や作成、裁判所での申立手続きなどをお任せできるほか、破産審尋や免責審尋にも同席してもらえます

また、弁護士がいれば一部の裁判所にある「即日面接制度」が利用可能。

これにより、通常は申立てから2週間~1ヶ月後に出される破産手続開始決定が早ければ即日に出されることになり、手続きにかかる日数が大幅に短縮されます。

※司法書士の場合は書類の作成までとなります。

依頼した時点で債権者からの取り立てを止めることができる

弁護士や認定司法書士に依頼した時点で債権者には受任通知が送られ、すべての取り立てが停止します
自力で行う場合、取り立ての停止は破産手続き開始決定後となりますので、より早い段階で辛い状況から解放されることになりますね。

自分の状況に合った債務整理方法を教えてもらえる

債務整理の方法は、主に「自己破産」「個人再生(個人民事再生)」「任意整理」の3種類。

ここでは自己破産に関する情報をお伝えしていますが、債務の状況によっては他の方法が適している場合もあるでしょう。
弁護士や司法書士からは、どの方法を選ぶべきかについても意見をもらえます。

無料相談を受けている法律事務所もあるので、自己破産に不安のある方は検討してみてはいかがでしょうか?

この記事のまとめ

自分での自己破産には多大な時間と労力を要しますが、そこに目をつぶることができれば十分にやる価値があるといえるでしょう。

しかし、少しでも早く終わらせたい、手続きをスムーズに進めたいという人は、費用をかけて専門家に依頼することも視野に入れた方がよいかもしれません

  • 裁判所へ行く回数は同時廃止事件なら2回、管財事件なら3回程度。専門家を代理人に立てる場合は回数が減ることも。
  • 裁判官や破産管財人との面談では、提出した書類の内容や、破産に至る事情などを聞かれるが、すべて正直に話した方が良い。
  • 自力での自己破産は、代理人に依頼する場合と比べて手続きにかかる時間と労力が増える。

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