2020.11.10更新

個人再生をしても車は残せるの?ローンを返済中の場合は注意!

個人再生をしたら車を手放さないといけないの?」
「ローンを返済中なんだけど、車を処分せずに個人再生はできる?

個人再生をした場合でも、基本的に所有している車が没収されることはありません

ただし、ローンを支払い中の車は注意が必要です。

自動車ローンの契約が、所有権留保となっているであれば、個人再生をすることでローン会社に自動車を引き上げられてしまうからです。

個人再生により車はどのように扱われるのか。

また、自動車ローンを支払い中の人が、自動車を残すにはどのようにすればよいのか。

この記事で詳しく解説いたします。

ローンが残っていない車は残せる!返済中なら契約内容に注意

個人再生をしても、一括払いで購入したりローンをすでに完済していたりすれば、車は残すことができます

ローンを支払い中の車については、ローンの内容が重要になります。

自動車ローンの中には、所有権留保といって、ローンを支払い中の間は名義がローン会社になっており、完済後に自分名義に変更する形になっているものがあります。

所有権留保となっている場合は、個人再生によりローンの残債が支払えなくなることから、ローンの規約によって車が引き上げられてしまうのです

ディーラーや中古車販売店で契約した自動車ローンは、所有権留保となることが一般的です。

一方、ローンを支払い中の車であっても、所有権留保ではなく、名義が本人になっている場合は、引き上げられる可能性は少ないです。

銀行などのマイカーローンを契約した場合は、所有権留保がなく、本人名義となります。

ローンを完済済の車 引き上げられることはない
ローンを支払い中で所有権留保されている車 引き上げられる
ローンを支払い中で所有権留保がない車 引き上げられることはない

車は個人再生ではどう影響するのか?

先述の通り、ローンをすでに完済している(もしくは一括払いで購入した)車や、ローンを返済中でも所有権留保のない車は、個人再生で手放す必要はありません。

ただし、個人再生にまったく影響がないわけではなく、査定額によっては再生計画に基づいた弁済額に影響します

再生計画の弁済額は

  1. 個人再生における減算基準額(最低弁済額)
  2. 可処分所得の2年分の金額(給与所得者の場合のみ)
  3. 清算価値の金額

の3つの基準の中から、一番高い金額のものになります。

注意しないといけないのは3の清算価値の金額。

個人再生には「清算価値保証原則」があり、「自己破産をしたと想定した場合、債権者に分配されていた弁済額については支払わなければならない」とされています。

清算価値は手続き時に、本人が持っていた財産により計算されます

車は査定額が財産と見なされるため、清算価値の金額を押し上げてしまう可能性があります。

車は査定額が高額になる傾向があるため、高級車などの場合は注意が必要です。

再生計画の弁済額が支払えない場合は、裁判所の指示により、車を売却して手放すことになります。

ただし、清算価値は「自己破産をしたと想定した場合」なので、自己破産でも手放さなくてもよい財産(自由財産)については、計算から除かれます。

自由財産には

  • 99万円以下の現金
  • 差押禁止財産

など、法律で明確に基準が示されている財産(本来的自由財産)のほか、裁判所が認めることで自由財産となる財産(自由財産拡張)があります。

個人再生では、自由財産の拡張を申し立てることはできませんが、管轄の裁判所が自由財産拡張を一律に認めている基準に含まれる財産については、本来的自由財産と同様、清算価値から除いて計算することになっています。

東京地方裁判所の基準を例にあげると、査定額が20万円以下の自動車は自由財産拡張が一律に認められると定められています。

個人再生でも同様に査定額は20万円以下であれば、自動車も清算価値に計上されない、という運用がなされています。

こうした基準は裁判所によって少し異なるため、手続き前に管轄の裁判所に確認しましょう。

所有権留保となっている車はローン会社により車を引き上げられる

所有権留保とは、車のローンを完済するまでは、所有権をローン会社に残しておくローン契約です。

ローンを完済するまでは本人は正式な所有者ではなく、名義上はローン会社に使わせてもらっているという状態で、ローンの返済が滞ると車は担保として扱われます。

個人再生をすると、ローンの返済は不可能(返済が滞る)となりますので、車はローン会社に引き上げられてしまうのです

個人再生をしたことで車が引き上げられることになった場合、手続き開始からおよそ1ヶ月後に実施されるのが一般的です。

車が引き上げになる流れは以下の通りです。

個人再生による車の引き上げの流れ

  1. 個人再生の実施と期限の利益の喪失
  2.  個人再生を実施が決まると、期限の利益の喪失となります。簡単にいえば、分割支払いができなくなります。
  3. 債権者・信販会社による自動車回収の決定・通知
  4.  個人再生を実施したことで、ローンが完済できなくなるため、担保として車の回収が決定され通知されます。
  5. 引上げの実施
  6.  決定・通知を受けて、実際に車が債権者(ローン会社)に回収されます。

なお、引き上げの対象となる車は本人の車のみです。

同一世代の家族であっても、ローンの契約者が本人以外であれば、影響はありません。

所有権留保でも車検証の名義が販売店になっていた場合は手続きが複雑になる

所有権留保となっていても、車の引き渡しを求めたローン会社に対し、引き上げを認めないという判決がくだったケースがあります。

所有件留保でローンを組んでいた人が個人再生をしたが、車検証の名義(所有者)が、ローン会社ではなく販売会社になっていたために、平成22年6月4日の判決により、裁判所が引き上げを認めない、ということになりました。

最高裁判所平成22年6月4日判決

販売会社、信販会社及び購入者の三者間において、販売会社に売買代金残額の立替払をした信販会社が、販売会社に留保された自動車の所有権について、売買代金残額相当の立替金債権に加えて手数料債権を担保するため販売会社から代位によらずに移転を受け、これを留保する旨の合意がされた。

ただし、同様の事象であっても、平成29年12月7日の判決で、まったく逆の判決が下されたケースもあります。

最高裁平成29年12月7日判決

自動車の購入者と販売会社との間で当該自動車の所有権が売買代金債権を担保するため販売会社に留保される旨の合意がされ、信販会社は購入者の委託を受けて購入者の売買代金債務を保証した。

このように同様に車検証の名義がローン会社ではなく、販売店になっている場合は、非常に複雑になる可能性があります。

車検証の名義が、販売店になっていた場合は、後々の手続きをスムーズにするためにも、早めに弁護士や司法書士へ相談しましょう。

カーリースをしている車は引き上げられる

ローンと似た形ですが、カーリースというものがあります。

カーリースは月額料金で車をレンタルできるサブスクリプション方式のサービスのことです。

結論からいえば、個人再生をするとカーリースは解約となり、車は引き上げられることになります

カーリースの多くは「残価設定型リース」といって、リース満了時の車の残価を設定し、差し引いた金額をリース料として支払った後、満了時に残価を支払うことで車を購入できる、という契約となっています。

ローンに近い性質がありますが、契約形態は借りている状態なので、リース料が支払えなくなれば、車は引き上げられることになります。

前述の通り「残高設定型リース」はローンとしての機能もあるため、契約時には信用情報を確認されます。

個人再生をすると、信用情報に事故情報が登録される、いわゆる「ブラックリストに載る」という状態になります。

個人再生することでリース料が支払えなくなることから、車は引き上げられることになり、さらに信用情報に事故情報が残っている機関(5〜10年)は、再契約もできなくなります。

所有権留保の車でも残せる3つの方法

ここまで解説した通り、所有する自動車のローンが支払い中であり、所有権留保となっていると、ローン会社によって車は引き上げられてしまいます。

どうしても車を手放したくない場合は、どうしたらいいのでしょうか?

実は、所有権留保がついている車であっても、残せる可能性のある方法が3つあります

所有権保有の車でも残せる方法

  • 第三者弁済により自動車ローンを完済してから個人再生をする
  • ローン会社に別除権認定を認めてもらう
  • 個人再生ではなく任意整理を行う

第三者弁済により自動車ローンを完済してから個人再生をする

第三者弁済とは、その名の通り、自動車ローンの残債を本人(債務者)以外の人が代わりに支払う方法です。

第三者には自動車ローンの支払う義務はありませんが、納得の上であれば任意に返済することは可能です

ローンが完済となれば、車が引き上げられる理由はなくなります。

しかし、個人再生の前に本人が、車のローンを優先して返済することは、特定の債権者だけに優先して返済をする偏頗弁済(へんぱべんさい)となるため、固く禁じられています。

車のローンを完済するのは、本人ではなく、必ず第三者でなくてはなりません

第三者弁済は、親や兄弟、親戚など、近しい人に依頼するのが一般的。

ただし、同居する家族などに依頼すると、「家計が同一である」という理由から、「家族が支払った」と主張しても「本人が支払ったのと同じ」として、偏頗弁済と見なされる可能性があります。

一方、縁遠い人に頼めば、後日、「返して欲しい」など金銭的なトラブルにも発展しかねません。

第三者弁済を検討する場合は、さまざまな注意点がありますので、迷ったら弁護士や司法書士に相談してみましょう。

ローン会社に別除権協定を認めてもらう

別除権協定とは、ローン会社と支払いの約束をすることで、車の引き上げをしないようにしてもらう協定のこと

簡単にいえば、本人とローン会社との間で、「車のローンとして、毎月〇〇円ずつ支払うので、代わりに車は回収しない」と約束を交わし、これを裁判所の許可してもらうものです。

個人再生において、別除権認定は極めて例外的な措置です。

本来であれば、ローン会社だけに支払いの約束をすることは、債権者平等の原則に反するため、偏頗弁済になるからです。

別除権協定が認められるケースは、運送関係の仕事をしており車がないと収入が得られず債権者の不利益になってしまう場合など、限定的なものです。

日常生活を過ごすうえで不便という理由では認められません。

個人再生ではなく任意整理を行う

任意整理とは、借入先の金融機関と交渉し、将来利息や遅延損害金をカットした上で、元金のみを自らの力で返済していくことです。

債権者に認められる必要がありますが、任意整理では、やむを得ない事情があれば、特定の借入先のみを交渉の対象にすることができます。

つまり、自動車ローンを任意整理の対象から外すことができれば、借金問題を解決した上で車を残せる、ということです

借金の元金そのものは変わらないので、個人再生や自己破産と比べて、効果は限定的である一方、処分しないといけない財産も限定的です。

任意整理については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
 「任意整理とは | メリット・デメリットを比較してベストな解決方法を知る」

車を残したくても直前に名義変更してはいけない

名義が本人以外の車であれば、個人再生の影響はありません。

しかし、個人再生の直前に名義変更をすると清算価値を減少させるための財産隠しとみられる危険があります

財産隠しと判断されれば、個人再生の許可が下りないこともあるので注意が必要です。

なお、所有権留保がついている場合、そもそも所有者に無断で名義変更をすることはできません。

個人再生後に自動車ローンを組むことはできる?

個人再生により、車を引き上げられてしまったら、次の車はどうすればよいのでしょうか?

個人再生をすると、信用情報に事故情報が登録されるため、5〜10年はローン自体を組むことができません

先述の通り、カーリースも信用情報に基づく審査が行われるため同様に契約できません。

次の車を購入する場合は、一括で購入するか、信用情報から事故情報が消えるのを待って自動車ローンを組むことになります。

ただし、個人再生で借金を整理した会社やその系列会社には、事故情報が消えた後も、社内情報として、顧客情報が残っていると考えられるため、審査に通る可能性は低いでしょう。

再び自動車ローンを組む場合は、借入をしていた会社や系列会社を避けて金融機関を選びましょう。

個人再生をすると車以外の財産は?住宅や生命保険を残すことはできる?

条件はありますが、車以外にも、個人再生ではマイホームや生命保険といった財産を残すことが可能です

自己破産であれば、一定額以上の財産は強制的に没収されてしまいますが、個人再生ではそのようなことはありません。

借金の元金を減らしつつ、柔軟に財産を残せる点は、自己破産にはない個人再生の大きなメリットです。

住宅ローンを返済中であればマイホームを残せる

住宅ローンの支払い中であれば、「住宅ローン特則」を利用することで、マイホームを手放さなくて済む可能性があります

住宅ローン特則を利用できる条件は、

  1. 住宅資金貸付債権(住宅ローンとしての借り入れ)であること
  2. 本人が所有している住宅であること
  3. 本人の居住用の建物であること
  4. 床面積の2分の1以上の部分が居住用であること
  5. 家に住宅ローン以外の抵当権がついていないこと
  6. 保証会社による代位弁済後、6カ月を経過していないこと

などです。

住宅ローン特則についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
個人再生なら家は残せる?住宅ローン特則の仕組みとは

生命保険は解約する必要がないが解約返戻金の額によっては注意

生命保険に関しては、解約返戻金が20万円を超えていても、解約しないといけない、ということはありません。

ただし、解約返戻金が財産として見なされるので、清算価値には計上されます

再生計画後に支払いができるのであれば、生命保険を継続して契約できますが、支払えない状況である場合は、解約の必要があります。

生命保険の個人再生による影響はこちらの記事で詳しく紹介しています。
個人再生をしたら生命保険はどうなる?解約返戻金があってもOK?

車などの財産を残して借金解決したい方は弁護士などに相談を!

弁護士や司法書士へ相談することで、車など守りたい財産がある場合は、自身に合った借金解決方法を提案してくれます。

個人再生は財産を守れる大きなメリットがある借金解決方法です。

一方で、手続きが難しいため個人で行うのは困難であることから、98%が弁護士や認定司法書士へ依頼しています。

無料相談を受け付けている法律事務所もありますので、個人再生を検討している人は、まずは相談してみましょう。

この記事のまとめ

個人再生を行うことで車を手放す必要は基本的にはありません。

しかし、ローンを支払い中で所有権留保がある場合、ローン会社に車が引き上げられる可能性があります。

どうしても車を手放したくない場合は、


  • 車のローンを完済する
  • 別除権協定を認めてもらう
  • 任意整理を検討する

といった方法が存在しています。


手続きが複雑になることもありますので、自身のローンの種類がわからない場合なども含めて、まずは弁護士や司法書士への相談を検討してみましょう。

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