任意整理の手続き中に「費用や返済を滞納した」などの理由で弁護士・司法書士に辞任されてしまった場合、任意整理は中止となってしまいます。
借金の減額交渉が振り出しに戻ってしまうだけでなく、督促が再開されたり、一括返済を迫られたりするリスクもあります。
せっかく生活が落ちつきかけていたところに、再び取り立てが行われてしまい、不安になってしまう方もいることでしょう。
しかし、他の弁護士・司法書士に改めて任意整理を依頼することは可能です。
当事務所では、他の事務所で辞任された方からのご相談も承っています。
辞任された理由を厳しく追求することはありませんので、安心して今の状況をお話しください。
ご相談は何度でも無料です。
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任意整理の手続きを進めている途中で弁護士・司法書士に辞任されてしまった場合、以下のような影響が生じます。
それぞれについて詳しくみていきましょう。
弁護士・司法書士に辞任されると、それまで行っていた和解交渉が停止してしまいます。
任意整理には3〜6ヶ月程度かかりますが、それがすべて振り出しに戻ってしまうのです。
別の弁護士・司法書士に改めて債務整理を依頼する場合にも、交渉を途中から引き継げるわけではありません。
委任契約や受任通知の送付などの手続きも再度行う必要があるため、借金の解決が遠のいてしまうでしょう。
なお、複数の債権者と任意整理の交渉を進めている場合、すでに和解契約を結んでいる債権者がいれば、その合意が取り消されることはありません。
つまり、辞任されたとしても、成立済みの契約はそのまま有効で、無効になってしまうことはないのです。
そのため、以降は和解契約まで至っていない債権者との交渉を新しい弁護士・司法書士に依頼することになるでしょう。
債務者(お金を借りた側、任意整理を行った当人)の都合によって弁護士・司法書士に辞任された場合、契約時に支払った着手金は原則として返還されません。
これは、着手金が業務に着手するための費用であり、任意整理の成功・不成功にかかわらず発生するものだからです。
「債務者の都合によって辞任する例」としては、以下のようなケースが挙げられます。
着手金のルールに関しては、委任契約書に記載されていることがほとんどです。
契約書については依頼時点でしっかり確認しておきましょう。
不明な点があれば事前に担当者に問い合わせることも大切です。
弁護士・司法書士が辞任した場合のデメリットとして特に大きいのは、督促が再開されてしまう点です。
通常、任意整理の和解交渉中は、弁護士や司法書士が債権者に「受任通知」を送付することで取り立てをストップできます。
しかし、弁護士・司法書士が辞任すると、辞任したことを伝える「辞任通知」が債権者へ送付されるため、取り立てを停止する効力がなくなってしまうのです。
任意整理の和解前に弁護士に辞任された場合には、督促が再開すると同時に、債権者から一括請求が行われるようになります。
これは、「期限の利益」を喪失することになってしまうのです。
返済期日になるまで債務者は返済しなくてもいい権利のこと。
分割返済が認められるのは、債務者にこの「期限の利益」があるため。
債務者が契約通りに返済できないと、この「期限の利益」を喪失するため、債権者は期日を待たずに一括請求を行えるようになる。
一括返済が難しい場合には、新たな弁護士・司法書士に債務整理を依頼し、請求を止めてもらう必要があります。
詳しくは、「弁護士に辞任されてしまったらどうすればいい?」の項目で解説しています。
任意整理の和解後に弁護士・司法書士に辞任されてしまった場合には、次のような影響が生じる可能性があります。
それぞれ、詳しくみていきましょう。
和解後に弁護士・司法書士に辞任されると、以降の返済については自分で管理する必要があります。
基本的に、和解後の返済の方法は以下の2通りがあります。
①弁護士や司法書士経由で支払う(弁済代行)
②自身で各債権者へ振り込む
「弁護士や司法書士経由で支払う」場合、毎月の返済をまとめて事務所に入金すればよいため、複数の債権者への返済を管理をする手間がないというメリットがあります。
しかし、弁護士・司法書士に辞任されてしまったあとは、自身で各債権者へ期日通りに振込を行う必要があるため、手間が増えてしまいます。
弁護士・司法書士に辞任されたこと自体が直接の原因ではありませんが、2ヶ月以上の長期滞納をした場合、一括請求のリスクが生じます。
これは、多くの任意整理の和解条件に「2回以上の滞納があれば期限の利益を失い、残額を一括で請求できる」という条件が盛り込まれているためです。
もし一括返済できない場合、債権者から裁判を起こされ、給与や財産を差し押さえられてしまうリスクもあります。
そのため、別の弁護士・司法書士事務所に依頼をするなどして、再和解や別の債務整理方法を目指す必要があります。
任意整理中や和解後に弁護士・司法書士に辞任されてしまう理由としては、次のようなものが挙げられます。
それぞれのケースについて、詳しく解説していきましょう。
任意整理の費用を支払えなくなった場合、依頼している弁護士・司法書士に辞任されてしまう可能性があります。
任意整理の依頼時点で「着手金」が必要になります。
一般的に、着手金は分割払いや後払いに対応している事務所が多いものの、この支払いを滞納してしまうと、任意整理の交渉が完了しないまま、辞任されてしまいます。
さらに、契約時に支払った着手金は、辞任されたとしても返還されません。
そのため、弁護士・司法書士には契約する前に「どのくらい費用がかかるのか」「無理のない分割払いにしてもらえるか」をよく確認するようにしましょう。
任意整理の費用が払えない場合の対処法は、以下の記事で解説しています。
任意整理の和解後、弁護士や司法書士に弁済代行を依頼していた場合、返済を長期間(2ヶ月程度)滞納すると辞任されてしまう可能性があります。
長期の滞納によって本来の和解計画が破綻してしまい、それ以降の計画通りの弁済が難しくなってしまうためです。
任意整理の手続き中または任意整理後の和解後に新たな借入を行うことも、辞任される原因になります。
弁護士や司法書士に依頼する時点で、多くの場合「新規の借入は禁止」という契約を取り交わします。
お金がないからといって新規の借入を行うと、この委任契約に反することになるのです。
任意整理中・後にかかわらず、新規の借入を増やさないように意識して家計管理を行いましょう。
依頼している弁護士・司法書士へ不誠実な対応をした場合でも、辞任されてしまう可能性があります。
「不誠実な対応」とは、例えば以下のようなものを指します。
これらは、先述の追加借入と同様に信頼関係を著しく損なう行為です。
「叱られるのが怖い」「事情を話しにくいから」と隠したくなる気持ちもあるかもしれません。
しかし、隠し事をすると、弁護士や司法書士が任意整理を進めるのに支障が出てしまいます。
弁護士・司法書士はあなたの味方ですから、仮に問題やトラブルがあったとしても、隠し事をせず、連絡を絶やさないようにすることが大切です。
弁護士や司法書士に辞任されてしまったとしても、それで全てが終わりというわけではありません。
別の事務所を探し、新しい弁護士・司法書士にもう一度依頼し直すことも可能です。
ここからは、任意整理で和解する前と和解した後の場合に分けて解説します。
和解前に辞任されてしまった場合には、その事務所とは別の事務所に依頼し直す必要があります。
なお、弁護士・司法書士に途中で辞任された場合、提出した債権者リストや取引履歴などの資料は返却されます。
それを新たな弁護士・司法書士事務所に持ち込み、任意整理の依頼を再度行うことになるでしょう。
ただし、2回目以降の任意整理では、債権者との和解の条件が1回目より厳しくなる傾向にあります。
状況によっては個人再生や自己破産といった他の債務整理も視野に入れましょう。
個人再生とは、裁判所に申し立て、借金を5分の1~10分の1程度に減額し、原則3年(最長5年)での返済を目指す方法。
自己破産とは、裁判所に申し立て、ほぼすべての借金の免除を認めてもらう方法です。
それぞれ、以下の記事で具体的に解説しています。
任意整理で和解した後に弁護士に辞任されてしまった場合には、まず滞納している残債がどれだけあるかを確認しましょう。
もし1ヶ月程度の滞納であれば、すぐに一括請求をされる可能性は低いです。
できるだけ早く滞納を解消するか、すぐに返済できない場合には、「遅れる理由といつ支払えるか」を債権者へ伝えることが肝心です。
任意整理の和解後に辞任され、返済も2ヶ月以上滞納してしまった場合には、再度の任意整理を検討しましょう。
先述したように、長期の滞納をすると債権者から一括請求をされてしまうリスクがあります。
もし一括請求に対応できない場合、訴訟や差押えなどの法的措置に発展する可能性もあります。
早い段階で別の弁護士・司法書士に任意整理の依頼をするのが望ましいでしょう。
2回目の任意整理を別の弁護士・司法書士に依頼する場合には、次のような点に注意しましょう。
それぞれの注意点について、詳しく解説します。
新たな弁護士・司法書士に依頼する際には、
などを、包み隠さずに伝えましょう。
辞任された理由を話すことで、担当の弁護士・司法書士も事前に対策を取ることができるからです。
また、2回目の任意整理であっても、借入額や借入先について事実と異なる申告をしてしまうと、手続きが円滑に進まなくなるおそれがあります。
虚偽の申告を行うと任意整理がスムーズに進まなくなる可能性があるため、正確な情報をそのまま話すことが重要です。
もちろん、これまでの経緯を正直に話したことで、叱責されるようなことはありません。
むしろ率直に伝えていただくことで、よりよい解決策を一緒に考えていくことができます。
任意整理の和解前は、着手金を滞納しないことが重要です。
なぜなら、着手金を支払わなければ、任意整理の交渉は始まらないからです。
着手金をすぐに用意できない場合には分割や後払いでの支払いも可能ですが、これを滞納してしまうと、辞任される原因になりえます。
「着手金が高過ぎて払えない…」という状況にならないよう、事前に弁護士・司法書士に相談をして、見積もりを出してもらうようにしましょう。
任意整理の和解後は、残債の返済を滞納しないことが大切です。
もし担当の弁護士・司法書士に代理での返済(弁済代行)を依頼していて、滞納のおそれがある場合には、早い段階で相談をしましょう。
分割払いや返済計画の見直しなど、どう対応すればいいかなどのアドバイスを受けられるでしょう。
依頼している担当の弁護士・司法書士とのやりとりは、できるだけこまめに行いましょう。
返信をしない、約束の面談に行かないなどの対応をすると、担当者も正しい状況を理解できず、適切な対応ができなくなってしまう可能性があります。
結果的に交渉が長引いたり、不利な条件での和解となってしまうおそれもあります。
電話やメール、LINEで返信するのがつい面倒になってしまうこともあるかもしれません。
しかし、ご自身のお金に関する重要なことですので、ていねいにコミュニケーションを取ることを意識しましょう。
先述したように、任意整理による解決が難しい場合には、裁判所に申し立てて借金を減額・免除してもらう「個人再生」「自己破産」も視野に入れる必要があるでしょう。
「任意整理による解決が難しい」とは、以下のようなケースが挙げられます。
個人再生や自己破産に関しては、裁判所を通した手続きとなるため、債権者と直接交渉する必要がなく、減額幅も任意整理より大きくなります。
ただし、いずれも任意整理と比べて費用や時間・手間がかかるため、弁護士・司法書士に相談して、自分の状況に合った債務整理方法を提案してもらうとよいでしょう。
当事務所では、「他の事務所で辞任されてしまった」という方のご相談も承っています。
督促や一括請求が行われている場合でも、再び停止させることができるため、取り立てにお困りの方への解決に向けたサポートも可能です。
相談は何度でも無料で、ご相談いただいたからといって無理に契約を勧めるものではございませんので、お気軽にお問い合わせください。