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債務整理は法律にのっとった手続きや交渉により借金を減らす方法の総称で、任意整理はこのうちの一種類です。
任意整理は、借入先(債権者)との交渉で借金の支払い額を減らします。
債務整理の他の方法と比べ、保証人や財産への影響を抑えやすいのが大きな特徴です。
裁判所を介さないため、周囲にバレにくいというメリットもあります。
「借金返済が苦しい」「返済を滞納してしまった」ような場合、まず最初に検討するとよいでしょう。
借金残高が5年で完済(60回払い)できそうな額であれば、その借金問題は任意整理で解決できる可能性が高いといえます。
毎月の返済が苦しく、任意整理などの債務整理を考えたら、まずは司法書士や弁護士事務所で相談してみてはいかがでしょうか。
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債務整理・任意整理の違いは、
です。
「自動車の一種がトラックである」というのと同じものだと考えていただければわかりやすいでしょう。
実際に債務整理をする方は、8割以上が任意整理を選択していると言われています。
そのため、この2つの言葉は混同しやすいかもしれません。
ここから、債務整理と任意整理、そして他の債務整理(個人再生・自己破産)についても詳しく解説します。
債務整理とは、借金の額を減らし、苦しい返済負担からの解放と生活の再建を目的にした、個人の債務を整理する手続きや交渉のことをいいます。
債務整理には、おもに以下の3種類があります。
任意整理は、債務整理のうちの1種類なのです。
債務整理3種類の大まかな違いをまとめると以下のとおりです。
任意整理 | 自己破産 | 個人再生 | |
---|---|---|---|
減額の内容(※) | おもに将来利息をカット | 原則すべての借金を免除 | 借金を1/5~1/10程度に圧縮 |
裁判所での手続き | なし | あり | あり |
手続き後の返済 | 3~5年 | なし | 3~5年 |
ブラックリスト期間 | 完済後5年程度 | 手続き後5〜7年程度 | 手続き後5〜7年程度または完済後5年程度 |
費用目安 | 約5〜15万円(債権者1社当) | 約30〜130万円 | 約50〜80万円 |
期間目安 | 約3〜6ヶ月 | 約3ヶ月〜1年 | 約6ヶ月〜1年6ヶ月 |
財産への影響 | 避けられる | あり | 避けられる |
官報への掲載 | なし | あり | あり |
保証人への影響 | 避けられる | あり | あり |
家への影響 | 避けられる | あり | 避けられる |
車への影響 | 避けられる | あり | ローン返済中はあり |
職業・資格の制限 | なし | 手続き中はあり | なし |
※ このとおり減額できるとはかぎりません
任意整理・個人再生・自己破産それぞれについて、詳しく解説します。
任意整理は、債権者(金融機関や貸金業者などの貸した側)と直接交渉して借金返済の負担軽減を図る方法です。
多くの場合、以下のような条件での和解を目指します。
将来利息が減れば、これまで利息の返済に充てていた金額を元金の返済に充てることができます。
もし任意整理をする業者との取引期間に過払い金(利息制限法の上限を超える金利での取引)が発生していれば、元金の減額も可能です。
任意整理については、以下の記事で詳しく解説しています。
個人再生とは、民事再生法にのっとり、裁判所に返済不能を申し立て、借金を5分の1〜10分の1程度に減額する方法です。
ただし、最低でも100万円の借金は残ります。減額後の返済は、原則3年(最長5年)です。
個人再生では「住宅ローン特則」を利用することで、住宅ローンを返済中でも家を手元に残せるという特徴があります。
個人再生については、以下の記事で詳しく解説しています。
自己破産は、破産法にのっtoり、借金が返済不能であることを裁判所に認めてもらい、借金を返済しなくてもよいという決定(免責決定)をもらう方法です。
借金が原則ゼロになる反面、家や車など一定以上の価値ある財産は回収され、債権者に分配されてしまうという大きなデメリットもあります。
また、破産法には以下のような「免責不許可事由」が定められており、当てはまると借金返済の免責が認められない可能性もあります。
自己破産については、以下の記事で詳しく解説しています。
任意整理は、交渉で借金の支払額を軽くできるため、債務整理の中でも多くの人に利用されている方法です。
メリット・デメリットをそれぞれ紹介します。
任意整理のメリットは、以下の6点です。
それぞれ解説します。
任意整理では無理のない返済計画を立て直し、新しい条件で債権者と交渉します。
毎月の返済額を減らし、家計への負担を軽減できるのです。
たとえば、残高200万円の借金(年利15%、返済期間3年)を任意整理した場合、返済額は以下のように減る可能性があります。
任意整理前 | 任意整理後 | |
---|---|---|
元金 | 200万円 | 200万円 |
毎月の返済額 | 71,788円 | 33,000円 |
合計利息 | 51万2,570円 | 0円 |
返済期間 | 36ヶ月 | 60ヶ月 |
※ みずほ銀行「カードローン 返済金額シミュレーション」で計算しています
※ あくまでシミュレーションのため、このとおりに減額されない可能性もあります
任意整理をすることで、債権者からの督促や取り立て、以後の請求を止めることが可能です。
弁護士や認定司法書士に依頼する場合、発送される「受任通知」の法的効力によって督促や取り立てがストップします(貸金業法21条)。
この間は返済も一時的に止められるため、生活の立て直しや、任意整理費用の積み立てに充てることができます。
任意整理は、裁判所を介さないため交渉の対象とする債権者を選ぶことができます。
よって、以下のような債権者を対象から外すことで、担保としている財産が回収されたり、保証人が請求を受けたりする事態を避けられます。
任意整理は裁判所を介さないため、他の方法よりも手続きは簡単です。
交渉から和解まで最短3ヶ月程度と、借金問題解決までが比較的早く(※)、費用も安く終わる可能性が高いでしょう。
※ 和解後、返済は続きます
任意整理の交渉の際、借金の理由や経緯を問われることは基本的にありません。
ギャンブルや浪費などによる借金でも利用することができます。
任意整理は、財産に影響を出さずに進められる、裁判所に出廷する必要がないことから他の方法よりも家族や会社にバレにくいといえます。
司法書士や弁護士に手続きを依頼した場合も、家への電話連絡や郵便物について配慮をお願いすれば、最大限対処してくれるでしょう。
任意整理のおもなデメリットは、以下3点です。
それぞれ解説します。
任意整理でできることは、交渉によって将来利息をカットすることです。
よって、和解後は元金部分の返済を続けなくてはいけません。
ただし、過払い金が発生しているケースでは元金が減額されることもあります。
任意整理を行うと、残った借金の完済後から約5年間、信用情報機関に事故情報が登録されることになります。
これは俗に「ブラックリストに載る」と呼ばれる状態です。
この期間には、以下のような影響が出ます。
いわゆるブラックリストに載った状態にも、対処法はあります。
たとえば、クレジットカードが使えない間も、デビットカードやキャッシュレス決済は利用可能です。
不安があれば、債務整理の解決実績が多い司法書士や弁護士に相談してみてください。
任意整理は、債権者との交渉です。
債権者の会社方針などにより、必ずしもこちらの希望どおりに減額ができない可能性もあります。
月々の返済額や返済期間も含め、できるだけ良い条件で話がまとまるよう、司法書士や弁護士などの法律の専門家に依頼しておくのが重要です。
他の方法と比較して、手続き自体の手間がかからず、生活への影響も小さい任意整理は、基本的に、借金の返済に苦しむ人が最初に検討する選択肢です。
目安として「借金の元金(+遅延損害金)を60で割った額>その人が毎月支払い可能な額」であれば、任意整理で借金問題を解決できる可能性が高いといえます。
前述のとおり任意整理では、借金の元金・遅延損害金の総額を5年(60回)程度で分割返済可能にできることが多いためです。
例)借金残高125万円、遅延損害金1万円の場合
125万円+1万円=126万円
126万円÷60(回)=2万1,000円
→毎月2万1,000円以上の支払いができれば、任意整理で解決可能なことが多い
収入源は家族の収入や、パート・アルバイト代でも構いません。家計簿などをつけて捻出可能な額を洗い出し、計算してみましょう。
ただし、以下のようなケースでは、任意整理での借金問題の解決は難しいかもしれません。
今までに1回も返済していないと「もともと返すつもりがなく、計画的に借りたのでは?」と、悪質な借り入れとして見なされるリスクがあります。
すると、交渉には応じてもらえなくなり、任意整理ができない可能性が高くなります。
生活保護を受給していると、基本的に任意整理はできません。
生活保護費の用途はおもに生活費や医療費に限られるため、借金返済は不正受給に該当する可能性があります。
借金がある状態で生活保護を受給している場合、法テラスを通した自己破産手続きが必要なケースが多いでしょう。
任意整理を行おうとしている借金に担保として車などを設定している場合、返済ができなくなった際、金融機関は担保の車を売却して、借金の回収に充てることができます。
この場合、金融機関にとっては、任意整理で返済額を減額するメリットはないため、任意整理の交渉を受ける可能性も低くなります。
任意整理での解決が難しい場合、個人再生や自己破産が借金問題解決のために必要な手続きになります。
個人再生は、裁判所に申立てを行うことで、家を残しながら借金を減らせる可能性のある手続きです。
メリットとデメリットを比較すると、以下のようになるでしょう。
これらのメリットとデメリットを踏まえ、個人再生が向いているのは、以下のような人といえます。
自己破産は、基本的に借金から解放される一方、財産や保証人への影響が避けられない手続きです。
メリットとデメリットを比較すると、以下のようになるでしょう。
これを踏まえ、自己破産が向いているのは以下のような人といえるでしょう。
任意整理は、複数ある債務整理の手続きの一つで、債務整理の中でも多く使われている方法です。
周囲に知られる可能性が低く、手続きも比較的簡単に終えられることが多いため、借金に困ったらまず選択肢になるでしょう。
現状の借金残高を5年(60回分割)で払い終えられそうであれば、任意整理が有効な可能性は高いといえます。
任意整理をするべきか、どう進めるか考えたら、まずは弁護士や司法書士事務所の無料相談を利用するとよいでしょう。
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