自己破産の申請に必要な書類と入手方法一覧
自己破産の申立てに必要な書類は多数ありますが、最低限必要な書類は、最高裁規則(破産規則)で次のように決まっています。
住民票
破産手続開始の申立ての日前1ヵ月間の債務者の収入・および支出を記載した書面
源泉徴収票の写し、その他債務者の収入の額を明らかにする書面
債務者の財産目録
さらに、裁判所ごとに書式が決まっている次の書類も必要です。
申立書
陳述書
債権者一覧
裁判所が自己破産を認めて手続きを開始するためには
- 現在、債務の支払いができない(借金が返せない)状態であること
- 債権者に対して分配できる財産がないこと
- 免責不許可になるような事由がないこと
を確認する必要があります。
そのため、最低限必須の書類に加えて、さらにその案件や債務者の事情に合わせて必要書類を求められるのです。
必要書類をまとめると、次の表のとおりです。
絶対に必要 | 状況により 必要 | 入手先 | ||
---|---|---|---|---|
1 | 申立書 | ○ | 裁判所 | |
2 | 陳述書 | ○ | 裁判所 | |
3 | 債権者一覧 | ○ | 裁判所 | |
4 | 住民票 | ○ | 市区町村役場等 | |
5 | 申立日前1ヵ月間の家計簿等 | ○ | 自身で作成または家族から | |
6 | 給与明細 | ○ (2-3ヵ月分は必要) |
||
7 | 源泉徴収票 | ○ | 会社 納税証明書・非課税証明書で代替可能(無職の場合など)、その際は市区町村役場等 |
|
8 | 財産目録 | ○ | 裁判所 | |
9 | 預金通帳の写し | ○ (すべての口座について、1-2年分は必要) |
無通帳取引の場合は記録を銀行またはインターネットで入手 | |
10 | 車検証・自動車税の申告書等車の名義の証明書類 | ○ | ― | |
11 | 土地家屋の権利書 | ○ | ― | |
12 | 保険証書など保険契約を証する書類 | ○ | ― | |
13 | 退職金見込額証明書 | ○ | 会社 | |
14 | 株・FXなどの取引明細 | ○ | 証券会社・またはインターネットでの取引記録のプリントアウト | |
15 | その他、裁判所から提出を要求された書類 | ○ | ― |
自己破産申請の書類と申請前に確認すること
書類の内容と、書類を準備する際に必要な注意事項などを説明しましょう。
必要な書類と準備までの注意点
- 申立書
- 陳述書・報告書
- 債権者一覧
- 住民票
- 申立日前1ヵ月間の家計簿等
- 給与明細
- 源泉徴収票
- 財産目録
- 預金通帳の写し1~2年分
- 車検証・自動車税の申告書等車の名義の証明書類
- 土地家屋の権利書
- 保険証書など保険契約を証する書類
- 退職金見込額証明書
- 株式・FX等の取引明細
- その他、裁判所から提出することを要求された書類
裁判所指定の書式があり、破産手続きの「申込書」に位置付けられる書類です。
【注意】
裁判所ごとで書式が異なります。
申立てをする裁判所の書式を使いましょう。
破産申し立てに至った事情や、生活の状況・免責不許可事由に関する事項を記載します。
本人が作成するときは「陳述書」、申立代理人弁護士が作成するときは「報告書」といいます。
【注意】
申立書同様、裁判所ごとに書式が違います。
申立てをする裁判所の書式を使いましょう。
わかっている債権者をすべて記載します。
【注意】
記録などから明らかにわかっているはずの債権者を不注意で記載しなかった場合は、その債権者の債権が免責対象から外されます。
免責対象から外れた債権は非免責債権といい、全体の免責後も完済まで弁済をすることになります。
敢えて記載しなかった場合、免責全体が許可されないことを意味する「免責不許可」の原因になる可能性もあります。
申立人が本人であることを証明するための書類です。
【注意】
マイナンバー入りでない住民票を指定しましょう。
マイナンバーは破産手続きには必要がないので、法律上裁判所が保有できません。
破産規則で必須とされている「破産手続開始の申立ての日前1ヵ月間の債務者の収入および支出を記載した書面」のことです。
通常は家計簿ですが、ない場合は書面を作成する必要があります。
【注意】
虚偽の説明は、免責不許可事由となる可能性があります。
可能な限り、記録など裏付資料に基づいて、正確に記載しましょう。
給与所得者がある方について、最低2~3ヵ月分は準備しましょう。
源泉徴収票は、直近の1年分を提出します。
課税証明書・非課税証明書でも代用できます。
申立書・陳述書と同様、裁判所で書式を指定しています。
通帳の写しまたはインターネットバンキングの取引記録です。
【注意】
残高が0円のところも含めて取引のある銀行全てについて提出します。
債務者の名義のものがあれば提出します。
債務者の名義のものがあれば提出します。
債務者が契約名義になっている場合に提出します。
解約返戻金など債権者に対して分配できるものがあるかを確認するためです。
退職金の見込額証明書は、会社の人事部に請求します。
将来発生する退職金は、債務者の持っている財産としてカウントされるため、見込み額を債権者に一部分配します。
【注意】
実際に債務者が退職して分配する必要はありません。
証券会社からの郵送された書面・電子書面など、取引明細書を1~2年分を提出します。
【注意】
株式取引・FX取引は、免責不許可事由にあたる可能性もありますが、サラリーマンの取引などは該当しない場合が多いです。
正確に報告しないと免責不許可になる確率が増します。
必要に応じて用意します。
自己破産申請前に確認しておくべきこと
自己破産の手続き前に、次のことを確認しておくようにしましょう。
- 保証人や連帯保証人がいる契約はあるか
- 貸金業者に何度かは返済しているか
- 銀行からの借り入れはないか
- 固定費や公共料金等でカード払いの支払があるか
- カードでショッピングをしていたか
- 債権者の見落としがないか
自己破産を申し立てると、債務の保証人・連帯保証人に請求が行きます。
お互いの信頼関係を破壊しないために、あらかじめ保証人・連帯保証人には、自己破産の申立てを行うことを伝えておく方がいいでしょう。
貸金業者に一度も返済をせずに破産の申立てをすることは、「返済の意思がなかったのに借りた」と見なされ、詐欺破産罪に問われる可能性があります。
できるだけ返済をしておく必要があります。
給与振込口座を持っている銀行からの借り入れがある場合、破産手続き後に口座から生活費を引き出せなくなってしまいます。
給与口座は、会社に申し出て別の口座にしてもらうなど対策を取りましょう。
クレジットカードの債務は全額届出る必要があるので、固定費や公共料金のカード払いは控えてください。
カード払いをしていると、いつまでも債務の額が確定できなくなります。
返済する前に破産申立てを行うことは、詐欺破産罪に問われる可能性があります。
また、カード会社など特定の債権者のみに限定して返済すると、債権者平等の原則に反した弁済(偏波弁済)になりかねません。
例えば、自分が保証人になっている保証債務、親族間の貸し借りなど、債権者一覧から落としてしまいがちな債権者がいますが、これも一覧に載せてください。
家族や仕事先にバレずに入手する方法
「必要書類を揃えるときに、家族や仕事先に借金問題がバレると嫌だ」という方もいらっしゃると思います。
そんな心配を少しでも減らすために、こんな対策はいかがでしょうか。
- 給与明細
- 家計簿
- 源泉徴収票
- 退職金見込証明
給与明細をご家族に管理してもらっている場合、申立てに必要なものは、ご家族に渡す前にコピーをしておくようにしましょう。
コピーし忘れてしまった場合、「会社の人事と社会保険料の確認をしたいので」などと話して出してもらいましょう。
「家計の見直し相談のために記録を見たい」
「家計に対して、保険料は適正なのかな?」
など話してコピーを取るなどの方法があります。
手元にない場合は「紛失したため」という理由で人事部で再発行をしてもらえます。
課税証明書・非課税証明書でも代用ができます。
「住宅ローンの与信調査」という理由があります。
自身が既にマイホームを建てていたとしても、親族名義でのアパート経営をするなどの理由が考えられます。
証明がなくても、社内規定から計算可能な場合は、退職金見込証明書までは必要がないこともありますので、裁判所に確認しておくのもよいでしょう。
自己破産が心配になったなら弁護士・司法書士に相談しよう
「自分の場合、どんな書類が必要なのかわからない」
「書類の記入でミスをしたら、面倒なことになりそうで心配」
そんな不安を抱えている方もいらっしゃることでしょう。
そういう場合は、ぜひ弁護士・司法書士に相談してみてください。
弁護士・司法書士の力を借りると、書類や手続きに関しては次のようなメリットがあります。
条件に応じて必要な書類はどれかを把握している
陳述書など必要書類の一部は代わって準備してもらえる
経験豊富な弁護士であればコツを得ていて効率的に対応できる
弁護士が介在することで、債務者が裁判所から信用を得やすくなる
費用も気になるところでしょう。
弁護士・司法書士費用・裁判所での予納金含めて、同時廃止で30万円、少額管財で50万円、管財事件で70万円が手続費用の目安です。
「同時廃止」とは、財産が少ない場合に、期間や費用負担をおさえて進める手続きです。詳しくは、少額管財、管財事件と合わせてこちらで確認できます。
初回の無料相談や分割払いが可能な事務所もあります。
金銭的に厳しい場合は、法テラスの無料相談の後に法律扶助を受ける方法もあります。
いずれにしてもメリットが大きいので、まずは弁護士・司法書士に相談してみましょう。
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