2020.10.29更新

個人再生すると保証人が影響を受けるリスクは大!軽減する方法は?

「借金がかさんでしまって、このままだと破産することになりそう」

「保証人には迷惑をかけられないし、マイホームも失いたくないので、なかなか債務整理に踏み切れない」

多重債務を抱えてしまい、このような悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか?

債務(借金)の額が大きくなってしまうと、債務整理の方法が個人再生や自己破産に限られてしまいます。

しかし、これらの方法には保証人に債務の支払い義務が移る、というデメリットがあります。

保証人を引き受けてくれた方はきっと、あなたにとって大事な人のはず。
できることなら、迷惑をかけたくないのが本音でしょう。

個人再生をした場合の保証人への影響を事前に知っておくことで、最善の対処方法を前もって準備できるしれません。

この記事では、個人再生の手続きと、保証人への影響と対処法について解説していきます。

個人再生すると保証人・連帯保証人にどんな影響が?

個人再生をすると保証人が減額の借金を肩代わりして返済することになります。

これは民事再生法177条にも明記されています。

(再生計画の効力範囲)

第百七十七条  再生計画は、再生債務者、すべての再生債権者及び再生のために債務を負担し、又は担保を提供する者のために、かつ、それらの者に対して効力を有する。
2  再生計画は、別除権者が有する第五十三条第一項に規定する担保権、再生債権者が再生債務者の保証人その他再生債務者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び再生債務者以外の者が再生債権者のために提供した担保に影響を及ぼさない。

債権者(金融機関などお金を貸した人)としても、再生計画が認可されると大幅に借金がカットされます。ですので、保証人に対して一括返済を求めてくるのが通常です。

ちなみに同じ法的手続きである自己破産も同様で、保証人への負担は避けられません(破産法253条)。

では、保証人が負う返済義務について具体的に解説していきます。

保証人はどれくらい返済する?

個人再生や破産によって本人の債務が減免されたとしても、その効果は債権者と本人との間に限定されます。

法律上、保証人にはその効果は及ばないことが明記されています(民事再生法177条、破産法253条)。

ただし、個人再生は本人が一定額を返済する手続きなので、個人再生で免除された分を保証人が支払うことになります。

たとえば、ある人が2社から総額700万円の借り入れがあり、個人再生手続となった場合の保証人の実際の返済額は次のようになります。

債権者 借り入れ残額 再生計画による本人の返済額 保証人の返済額
A社 500万円 100万円 400万円
B社 200万円 40万円 保証人なし

なお、本人と保証人との関係についても整理しておきましょう。

仮に上表のA社のケースで保証人が500万円全額を返済した場合、この時点でA社に対する返済責任は免れることができます。

ただし、保証人は500万円全額を返済しているため、本人に対して肩代わりした借金の返済を求める権利(求償権)が発生します。

とはいえ、個人再生によって本人の返済義務は100万円に限定されることに変わりはありません。ですので本人は100万円のみを保証人に返済することになります。

つまり本人目線では、対A社であれ対保証人であれ、100万円を返済すれば責任を免れることになるのです。

住宅ローンも保証人が返済する?

個人再生の大きな特色として、住宅ローンは別枠として返済を続けながら、その他の借金だけを個人再生により圧縮できる点が挙げられます。

この制度を「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」といいます。

住宅ローン特則を含んだ再生計画では、消費者金融や車のローンなどその他の借金とは異なり、以下2点の例外が認められています(民事再生法203条1項)。

  • 自宅や敷地に設定された抵当権の実行(競売)が回避できる
  • 住宅ローンについては本人が計画どおりに返済を続ければ保証人には請求されない

近年は住宅ローンも多様化しており、たとえば親子や夫婦が別個の住宅ローンを組んで一軒の住宅を購入するペアローンの利用も増えています。

多様な住宅ローンの形態に対応するため、東京地裁などでは住宅ローン特則の設定にあたって柔軟な運用を行っているといわれています。

具体的には以下のようなものです。

  • 夫婦・親子がペアローンを利用し相互に保証人となっているケース

たとえば、ペアローンで夫婦や親子が相互に保証人になっているケースで、双方が個人再生をしたとしても住宅ローン特則が認められる可能性があります。

住宅ローン特則の利用を検討している場合は、裁判所の方針や判断の傾向についてよく知っている弁護士や司法書士に相談されることをお勧めします。

  • 住宅ローンの保証人のみが個人再生をするケース

一方で、住宅ローンの保証人のみが個人再生の申し立てを行う場合はどうでしょうか。

住宅ローン特則は自分が住む住宅のための借金でなければ利用できません。

したがって、保証人単独では住宅ローン特則を利用できません。

さらに、次に解説する期限の利益喪失事由に該当して、本人に一括請求されることも考えられるので注意が必要です。

保証人に返済義務が移った借金は一括請求される

債権者(借金の貸し手)にとっては、個人再生の申し立てがされることは、貸したお金が回収できないリスクを意味します。

したがって債権者は個人再生されると原則、保証人に対して借金の残額を一括で払うよう請求します。

金融機関やクレジット会社との契約書に、次のような文言が明記されていないでしょうか。

「本人や保証人に破産や個人再生など重大な信用不安が生じた場合には、一括請求ができる。」

このように、分割での返済が効かなくなることを「期限の利益を喪失する」といいます。

期限の利益とは、たとえば100万円を10回の分割払いにするという契約では、1ヶ月ごとに10万円の返済期が到来し、残額についての返済は猶予されている状況をいいます。

なお、期限の利益の喪失は、保証人にとって不測の事態であることが多いことから、2020年(令和2年)4月に施行された改正民法では、個人の保証人に対して2ヶ月以内に通知するとされました(民法458条の3)。

奨学金は機関保証の場合は迷惑がかからない!

日本学生支援機構から借り入れた奨学金については、機関保証制度を利用(平成16年以降適用)している場合、連帯保証人及び保証人がいないケースもあります。

その場合は、奨学金を受給している方が個人再生をしても保証機関が一括返済をするので、保証人に対する影響はありません。

個人再生の申し立てを選択される場合は、債務の額が数百万円から数千万円の規模になっていることが多く、一括請求される保証人の生活をも脅かす事態となる可能性があります。

したがって、個人再生をする前に、保証人には事情を説明し、合意を得た上で手続きするなど、誠実な対応を心がけたいもの。

また前もって説明しておくことで、保証人の責任を減らせる可能性もあります。
次の章では個人再生後の債権者と保証人との関係について解説します。

個人再生したとき保証人・連帯保証人はどうやって返済する?

本人の個人再生によりハイリスクな債権となった以上、債権者としても保証人からの回収を急ぎたいところ。

しかし、保証人も多額の一括請求に応じる余力があるとは限りません。

一括での返済が困難な場合、妥協可能な返済プランを提示したり、保証人の権利を行使したりする対応も考えられるところです。

ここからは、保証人としての対応方法について解説していきます。

交渉次第で分割返済できる可能性も

個人再生の手続きが終わると、本人と保証人の返済額が債権額に達するまで各自が返済をしていくことになります。

先ほどお話しした通り、債権者は保証人に対しては一括での請求を行います。

とはいえ、債権者としても、保証人の経済的破綻を望んでいるわけではなく、あくまで債権の回収が目的です。

したがって、話し合い次第では保証人も分割で返済できる可能性が十分にあります。

債権者が受け入れ可能な返済プランで妥結してくれる可能性は十分にあります。

債権者が妥協可能なラインは次のような条件になるでしょう。

  • 元の契約による返済条件以上のプランであること
  • 本人の再生計画による返済分も含めたプランであること

また、保証人の信用状況によっては、新たな保証人や担保の提供によって分割での返済に応じてくれる可能性があります。

なお、保証人の返済状況によっては、本人の返済計画より前倒しで完済に至るケースもありえます。

たとえば、さきほどの表(抜粋の上再掲)のケースにおいて、

債権者 借り入れ残額 再生計画による本人の返済額 保証人の返済額
A社 500万円 100万円 400万円

本来なら、個人再生手続き後は本人・保証人は上記の金額を返済していきます。

しかし、仮に本人の個人再生後の返済額が50万円でも、保証人が450万円返済すれば、A社に対する債務は完済となります。

この場合、原則として本人はA社ではなく保証人に対して、残額の50万円を返済しなければなりません。

保証人の権利を行使する

ここまでの解説では、債務を保証した人を単に「保証人」と記述してきましたが、保証人には「保証人」と「連帯保証人」の2種類があります。

もともとは保証人が原則的な形態ですが、保証人には以下のような権利があり、債権者としては債権回収の障害となることが少なくありません。

保証人に認められる権利は次のとおりです。

  • 催告の抗弁権
  • 検索の抗弁権
  • 分別の利益

一方、「連帯保証人」は本人とほぼ変わらない責任を負い、債権者の請求を拒むような権利は一切認められません(民法454条)。

金融機関やクレジット会社との契約で保証人になるといった場合は、ほぼ例外なく連帯保証人とされているのが実情です。

それでも難しいときは保証人も債務整理を検討

保証人にも借金があったり、収入が減少したりしていて、他人の保証をした分まで支払う余力があるとは限りません。

個人再生によって保証人が返済不可能になり、保証人も債務整理が必要になるケースも考えられます。

債務整理には、任意整理と法的整理(個人再生・自己破産)とがあります。

任意整理

弁護士や司法書士に債権者との交渉を依頼して、将来の利息をカットしてもらい、債務(借金)総額を固定した上で新たな返済方法を取り決める方法です。

自己破産

住宅や車など清算できる資産をすべて処分する代わりに、借金の全額を免除してもらう手続きです

ここまでにお話しした通り、個人再生による保証人への影響は決して小さくないことがお分かりいただけたかと思います。

個人再生の申し立てを行うことになった場合、弁護士や司法書士との相談の席に保証人も加わってもらうなどして、各自にとって最善の方法を模索するのが望ましいといえるでしょう。

保証人に迷惑かけたくない!でもやってはいけない個人再生前の注意点2つ

個人再生の申し立てをするにあたって、できるだけ保証人に迷惑をかけたくないというのは自然な心情でしょう。

しかし、債権者の立場になってみれば、せめて他の債権者と平等に可能なだけ返済してほしいと思われるのではないでしょうか。

そのために、守らなければならない次の二つのルールがありますので解説します。

  • すべての債務を明らかにする必要がある(保証人がいる借金や親類や友人からの借金を除外することはできない)
  • 個人再生申し立ての前後にわたって、裁判所の許可を受けずに一部の債務だけを返済してはいけない

以下で詳しく解説していきます。

保証人がいる借金を隠してはいけない

保証人付きの債務(借金)だからといって、その事実を申告せずに個人再生の申し立るのはいけません。

個人再生手続きでは、申し立て時に提出する債権者一覧表が、手続きする上で重要な意味を持っています。

仮に債権者からの応答がない場合でも、一覧表の記載を前提に手続きが進行し、再生計画が策定なされます。

なお、東京地裁では個人再生の全件で個人再生委員(多くの場合、弁護士)を選任しており、申立人の資産などについて調査を行っています。

その他の裁判所でも、債務総額が高額であったり、内容を調査したりする必要が生じた場合には個人再生委員が選任されるケースがあります。

個人再生委員の調査では、銀行預金の入出金履歴や家計の状況も専門的な視点で調査され、不明朗な入出金などがあれば説明を求められます。

債権一覧表への記載がない債務がある場合は、その調査で明るみに出ることは避けられないといえるでしょう。

また、一旦提出した債権者一覧表は訂正することができません。

新たな債権者が発覚したからといって手続きそのものは中止されるわけではありません。

しかし、債務総額が増えると債務の返済率が下がる仕組みになっています。

一例

申し立て時は債務総額400万円の返済率:25% →手続き後の返済額100万円
だったが、他にも債務があったことが発覚すると…
債務総額600万円の返済率:20% →手続き後の返済額200万円

また当初の見込みより返済率が下がることにより、他の債権者の反発を招くことも予想されます。

さらに、新たな債権により再生計画に大きな狂いが生じるような場合には、再生計画が不認可となったり、一旦認可された再生計画が取り消されたりすることもあります。

債権者の隠蔽は、債権者の不信を買ったり弁護士との信頼関係を損なったりすることにもなりますので、絶対に避けてください。

特定の借金を手続き前に返済してはいけない

個人再生手続きでは、申立人の都合で一部の債権者のみを優遇することはできません。

全債権者が残高に応じて平等に権利を行使できることが重要です(債権者平等の原則)。

個人再生手続開始前であっても、すべての債権者への返済の目途が立たなくなった状態で一部の返済をすることは避ける必要があります。

特定の債権者のみを優遇する偏頗弁済(へんぱべんさい)とみなされる可能性があるからです。

個人再生手続開始前に偏頗弁済が発覚すると、最悪の場合、個人再生の申し立てが棄却されることもあります(民事再生法25条4項)。

また、発覚が個人再生手続開始後であっても、偏頗弁済は無効な弁済とみなされます。

その結果、個人再生後の返済額が増加することにもなりかねません。

また、個人再生手続開始後は、裁判所の許可を受けずに弁済をすることが法で明確に禁止されています(民事再生法85条1項)。

勤務先からの借り入れがあり、給料から返済しているようなケースでも偏頗弁済に該当する可能性があるため、注意が必要です。

個人再生したあとに奨学金や車・住宅ローンの保証人になれる?

ここまでご自身が個人再生をした場合の保証人への影響をメインに解説してきました。

しかしたとえば、個人再生をした人が家族などから保証人を依頼された場合に、保証人となることはできるのでしょうか?

原則として個人再生をした方が保証人として認められる可能性は低いですが、契約の内容によっては可能な場合も考えられます。

ここでは、個人再生を行った後に保証人になる必要が生じた場合の注意点を解説します。

保証人になれないのは信用情報に事故情報が記載されるため

個人再生などの信用事故があると、金融機関やクレジット会社が加盟する個人信用情報機関に事故情報として記録(いわゆるブラックリストに登録)されます。

ブラックリストに登録されている期間(5~10年程度)は、金融機関から融資を受けたり、借金の保証人となったりすることは通常は認められないでしょう。

この期間は、新たな借り入れも保証人となることもできないものとして生活設計をしていく必要があるといえます。

また、ここまで説明してきたとおり、借金の保証人になるということは、不測のトラブルに巻き込まれるリスクを抱えるということでもあります。

さらに、二度目の個人再生や破産の手続きも法的には不可能ではありません。
※給与所得者等再生では7年間再度の申し立てはできません。

しかし裁判所や債権者から向けられる目も相当厳しいものとなることが予想されます。

保証人を引き受けるのは慎重に検討されることをおすすめします。

個人再生を含む債務整理による信用情報への影響については、以下の記事で詳しく解説しています。
債務整理が信用情報に及ぼす影響|事故情報登録から回復までの注意点

賃貸住宅や奨学金など「借金」でなければ保証人になれる可能性はある

個人再生をした場合でも、借金以外の保証人であれば可能な場合もあります。

たとえば、住宅の賃貸契約などの保証人など、金融機関以外との契約であれば、ブラックリストを参照されることがないと考えられるため、保証人として認められる可能性もあります。

注意点としては、賃貸契約によっては、家賃の支払い方法がクレジットカード払いに限定されたり、クレジット会社の保証が必須とされたりしていることがあり、保証人として認められないケースもありえます。

また、子どもの奨学金の借り入れの際に保証人を要求される場合も考えられますが、ブラックリストを参照された結果、保証人になれないこともありえるでしょう。

しかし、奨学金では機関保証を利用すれば、保証料を支払って奨学金の貸与を受ける方法も用意されています。

保証人への影響を少なくするためにも!弁護士や司法書士に相談を

ここまで個人再生と保証人への影響、さらに個人再生後の制約について解説してきました。

特に保証人に対しては多大な迷惑をかけることになり、さらにその後の生活でも最長10年程度は経済的な制約を受けることがお分かりいただけたかと思います。

しかし、借金で首が回らない状況であっても、冷静に考えていただきたいことがあります。

保証人まで引き受けてくれた方が、あなたが借金返済のために苦しんでいる状況を望んでいらっしゃるでしょうか?

債務整理を先延ばしにしたところで、滞納をしてしまうと、いずれ保証人に迷惑が及んだり、ブラックリストに登録されたりする結果も十分ありえます。

また、滞納している状態では、遅延損害金(借金を滞納した場合に発生する損害賠償金)が日々上乗せされていき、結果的に保証人にも過大な負担を強いることにもなってしまいます。

そうであれば、できるだけ早く保証人に事情を説明して、借金問題の早期解決を目指すべきではないでしょうか?

債務整理の経験が豊富な弁護士や司法書士は、個々の事情に即した解決方法や保証人への影響を最小限にとどめる方法も熟知しています。

当然、個人再生などの債務整理を行う場合は、保証人に対しても説明することが必要ですが、保証人の事情によっては、保証人の債務整理も同時に依頼することが可能です。

弁護士や司法書士というと敷居が高く感じられるかもしれませんが、

  • 債務整理の相談だけであれば無料
  • メールなどでの相談

など相談者の立場に立った事務所も増えています。

この記事のまとめ

個人再生には自宅を残しながら、借金を減額できるメリットもある一方で、減額した借金は保証人が一括請求されるデメリットもあります。


保証人の負担を減らす方法としては

  • 交渉によって分割返済にしてもらう
  • 保証人がもつ権利を行使する
  • 保証人も債務整理をする

などが挙げられます。


いずれも個人再生は保証人への影響を完全に避けらない制度です。

事前に保証人に対して真摯な説明するだけでなく、経験豊富な弁護士や司法書士によるサポートを受けることをおすすめします。

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