メールで相談する 0120-243-032

相続コラム

相続手続

相続人が外国籍の場合は?必要書類や手続きの違いを徹底解説

#

国際社会の発展とともに、外国籍の方が関与する相続「国際相続」が増えてきました。

被相続人と相続人の国籍が異なる場合でも相続権は発生しますが、日本人だけで行う相続とは手続きが異なることがあります。

この記事では外国籍の相続人・被相続人がいるときの相続権や相続登記、相続税、必要書類の手続きについてご紹介します。

外国籍の方が相続に関与する可能性がある方や、すでに相続が始まっている方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

被相続人が日本国籍のときは、日本の法律を適用

被相続人が日本国籍の場合、原則日本の法律が適用されるため、外国籍の相続人であっても日本国籍の相続人と同じ権利・義務が発生します。

国際相続でどこの国の法律を適用するかは、国によって法律が異なりますが、日本では被相続人の国籍の法律を適用します。

相続人の国籍やビザなどは関係ありません。

国際結婚などをきっかけに子どもが外国籍を取得した場合や、相続人・被相続人の居住地が外国の場合、遺産が外国にある場合であっても、他の相続人と遺産分割協議に参加する必要があります。

一方、被相続人が外国籍の場合、外国の法律に基づいて手続きする必要があります。

遺言は日本・外国、どちらの方式でも有効

日本の法律では遺言を有効にするための方式が定められていますが、外国の方式で作成された遺言は日本でも効力があるのでしょうか。

遺言は下記の条件に一つでも当てはまっていたら、日本でも効力があるとされています。

・遺言を作成した場所の法律で有効

・被相続人が遺言を作成した当時の国籍・住所・居住地の法律で有効

・被相続人が亡くなったときの国籍・住所・居住地の法律で有効

・不動産に関する遺言は、不動産の所在地の法律で有効

参照:遺言の方式の準拠法に関する法律 第2条

見つかった遺言が日本の方式で作成されたものではない場合、別の国の方式で作成された可能性があるため、専門家へ相談して有効性を確認しましょう。

外国籍の相続人の相続登記

相続人が外国籍であったとしても、被相続人が日本国籍であれば、相続登記を行わなければなりません。

ただし外国籍の相続人は、相続登記に必要な書類の「戸籍謄本」や「住民票の写し」がないことがあるため、日本人とは別の手続きを行うことになります。

外国籍の相続人の必要書類

外国籍の相続人や、外国に住んでいる相続人には、戸籍謄本や住民票がないことがあります。

それでも相続手続きを進めなければならないため、代わりの書類や確認先などをご紹介します。

相続人の戸籍謄本がない場合

外国籍の方は日本に戸籍謄本がないため、代わりの書類で相続人であることを証明しなければなりません。

戸籍制度のある国で戸籍を持っている相続人であれば、その国の戸籍を使用できます。

また、外国籍の方でも一度日本国籍を取得したことがある方や、被相続人の配偶者であれば、日本の戸籍から確かめられます。

しかし戸籍制度のある国は少ないため、出生証明書や婚姻証明書、死亡証明書、宣誓供述書などで相続関係を証明することになります。

相続人の住民票がない場合

相続登記の手続きに住民票の写しが必要ですが、外国籍で外国に住んでいる人は住民票がありません。

外国籍であっても住民登録している方は住民票の写しが発行されます。

外国籍で住民票がない方は宣誓供述書を取得することになります。

宣誓供述書とは

外国籍で戸籍謄本や住民票がない方は、宣誓供述書を取得することで被相続人との相続関係を証明できます。

宣誓供述書とは、公証人または大使館・領事館の担当者に供述者が作成した宣誓供述書の記載内容が正しいことを宣誓し署名したものです。

宣誓供述書は英語で作成されるため、和訳したものを添付して手続きを進めることになります。

印鑑証明書がなければ署名証明書

遺産分割協議書の作成には、相続人全員の印鑑証明が必要ですが、外国籍の相続人は日本の印鑑を持っていないことがあります。

外国のものでも印鑑証明書があれば使用できますが、印鑑を使わない国もあります。

印鑑を使わない国の相続人は、通常「署名証明書」を添付し、捺印の代わりにサインで書類の作成を行います。

大使館や領事館で発行してもらえる署名証明書を作成し、相続人に郵送する流れとなります。

在留証明書は大使館で確認

外国籍の相続人は、海外に住所があることを証明するために宣誓供述書に住所の記載をしてもらうことが必要です。

外国籍の相続人にも相続税は課税される

相続人が外国籍であっても、相続税は課税されます。

ただし相続財産の課税対象は、相続人・被相続人の居住地や財産の所在地によって、「国内外の財産全て」か「日本にある財産のみ」のどちらかに分かれます。

国際相続の課税対象の詳細を知りたい方は、国税庁のページをご覧ください。

国税庁(No.4138 相続人が外国に居住しているとき):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4138.htm

外貨建ての財産は日本円に換算

被相続人が日本国籍であり、海外に外貨で建てた財産は、被相続人が亡くなった日の相場で日本円に換算して計算します。

資産に関しては「対顧客直物電信買相場(TTB)」で換算し、債務は「対顧客直物電信売相場(TTS)」で換算する仕組みです。

不動産の評価方法は国によって異なるため、現地の専門家などに評価を依頼し、日本円に換算して計算します。

まとめ:外国籍の相続人がいるときは専門家へ相談

今回は外国籍の被相続人・相続人がいる相続手続きに関して解説しました。

原則被相続人の国籍がある法律が適用されるため、外国籍の相続人であっても、日本国籍の被相続人の場合は、相続手続きを行わなければなりません。

もちろん財産を相続するだけでなく、相続税の納税と申告も行う必要があります。

外国籍の相続人がいる場合は、一般的な相続手続きと異なることがあるため、司法書士など専門家へご相談することをおすすめします。

相続コラムTOP