2020.10.16更新

自己破産で退職金を没収されない方法!会社に知られずにできる?

「自己破産したら退職金はどうなるの?」
「退職する予定はないけど、将来の退職金も没収される?」

もし自己破産をした場合、退職金も処分されてしまうのか気になる人もいるでしょう。

たしかに、退職金も金額によってはその一部が換価処分の対象になります。

ただ、処分の対象となる金額は、退職金をすでに受け取っているかどうかで異なるのです。

この記事では、自己破産と退職金の関係をはじめ、退職金についての必要書類、会社に知られにくい方法などを解説します。

自己破産をしたら退職金はどうなるのか

自己破産をする場合、退職金の一部または全部が財産として評価され、一定額を超えると処分の対象となります

すでに受け取っている退職金は、破産手続きの際に現金や預貯金として評価されます。

一方で、

  • 退職金をまだ受け取っていない
  • そもそも退職の予定がない

ケースでも、現時点で退職した場合に受け取れる退職金が財産とされます。

ただし、未取得の退職金の場合、処分の対象となるのは一部のみです。

自己破産の時期と退職金の関係

自己破産の時期 財産として評価される割合
退職を考えていない/退職がまだ先 1/8
手続き中に退職予定/退職後受領前 1/4
退職をして退職金を受領済 全額

(1)退職を考えていない、または退職がまだ先の場合

すぐに退職金を受け取る予定がない場合、退職金支給見込額の8分の1が財産として評価されるのが一般的です。

退職金の金額は、破産手続開始決定の時点で退職した場合の退職金が基準となります。

退職金は本来、退職後の生活を保障するものであり、法律で4分の3は守られています。

さらに、すぐに受け取らない場合は確実に受領できるか不明であることなどから、本来(4分の1)の半分である8分の1としている裁判所が多いのです。

また、退職金支給見込額の8分の1が20万円未満の場合は、生活に必要な財産(自由財産)として退職金全額を残すことができます

一方、20万円以上の場合は処分の対象となります。

しかし、ほかの財産とあわせて99万円の範囲内であれば、自由財産として認められることが通常です。このことを「自由財産の拡張」と呼びます。

自由財産については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
自己破産をしても残せる財産がある!自由財産の概要と多く残す方法

したがって、退職がまだ先の場合、退職金支給見込額が160万円未満の場合は退職金を残すことができますが、それ以上の場合は8分の1が処分対象となります。

例えば、退職金支給見込額が400万円の場合、処分対象となるのは50万円です。

(2)破産手続き中に退職の予定がある、または退職したが支給がまだの場合

退職後でまだ退職金を受け取っていない、または間もなく退職予定である場合は、退職金が支給される可能性が高く金額も確定しやすいため、原則どおり退職金の4分の1が財産として評価されます

したがって、退職金が80万円未満の場合は退職金を残すことができますが、それ以上の場合は4分の1が処分対象となります。

例えば、400万円の退職金が支給される場合、処分対象となるのは100万円です。

(3)すでに退職し、退職金が支給されている場合

支給済みの退職金は、退職金ではなく預貯金または現金として取り扱われるので、退職金全額が財産として評価されることになります。

申立て時点でおおむね20万円(※)を超える預貯金があれば管財事件となり、その他の財産とあわせて99万円を超えた分は処分の対象となります。

※裁判所によって額は異なる。

共済から支払われる退職金や確定拠出年金などは処分対象にならない

中小企業退職共済制度など共済から支払われる退職金や確定拠出年金は、自由財産として扱われます

処分対象にならない退職金等

  1. 中小企業退職共済制度による退職金
  2. 小規模企業共済制度による退職金
  3. 確定拠出年金
  4. 確定給付企業年金
  5. 厚生年金基金

中小企業退職共済制度は、自社では退職金の支払いが難しい中小企業のための退職金制度です。

また、小規模企業共済制度は、中小機構が運営する経営者のための退職金制度です。

これらは自己破産手続き上の退職金とは異なり、自由財産とされているため処分の対象になりません。

また、確定拠出年金や確定給付企業年金、厚生年金基金も、全額が差押禁止債権のため取り上げられることはなく、60歳になったら支給されます。

例えば確定拠出年金の場合、原則として差し押さえが禁止であることが、確定拠出年金法に記載されています。

確定拠出年金法 第32条
給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。ただし、老齢給付金及び死亡一時金を受ける権利を国税滞納処分により差し押さえる場合は、この限りでない。

裁判所に退職金の証明書を提出する必要はあるのか

原則的には「退職金見込額証明書(退職金計算書)」を勤務先に作成してもらう必要があります。

会社から自己破産を疑われる可能性もありますが、「住宅ローンのために必要」などと説明すれば不自然ではありません。

勤務先から証明書を取得できない場合

「どうしても会社が退職金見込額証明書を作成してくれない」などの事情がある場合は、自分で退職金見込額を計算する方法もあります。

就業規則の退職金規定などを見れば、計算方法も書いてあるので、自分の退職金見込額を計算できます

これらを会社に提出すれば、退職金証明書に代えることができます

財産目録にも退職金の見込額などを記載する必要がある

裁判所に自己破産を申し立てる際には、そのときに所有している財産をすべて記載した「財産目録」を提出する必要があります。

勤務先に退職金制度がある場合は、財産目録の「退職金請求権・退職慰労金」欄などに退職金の見込額などを記載します

裁判所によって書式や必要書類は異なりますが、弁護士や司法書士に相談すれば、どのような書類・資料を添付すればよいのかも教えてもらえるでしょう。

退職金を失いたくないなら他の債務整理方法も検討しよう

自己破産以外に、任意整理、個人再生という債務整理の方法もあります。

任意整理や個人再生であれば、すでに支給された退職金を処分されない可能性があります。

また、

  1. 家や車などの財産を残せる
  2. 会社や家族に知られにくい

など、あなたの状況や希望により近い可能性もあります。

ぜひ検討してみましょう。

任意整理では退職金を処分されない

任意整理は、債権者と直接交渉することで将来利息や遅延損害金をカットしてもらう方法です。

裁判所を介さない債務整理方法のため、退職金を含む財産を処分する必要はありません

任意整理については、以下の記事でさらに詳しく紹介しています。
「任意整理とは | メリット・デメリットを比較してベストな解決方法を知る」

個人再生では退職金を財産とみなす

個人再生は、裁判所を通じて借金を一定額(500万円以下なら100万円)に減額し、残った借金を原則3年(場合によっては5年も可)で返済していく方法です。

自己破産と同様に、退職がまだ先の場合は退職金支給見込額の8分の1、退職が決まっている等の場合は4分の1、すでに受け取った退職金は全額が財産として評価されます

個人再生の場合は、持ち家など財産の処分義務がない代わりに、現在持っている財産の総額以上の金額を返済しなくてはならないという原則があります。

そのため、すでに高額の退職金を受け取っている場合は財産の総額も膨らむことになり、個人再生後の返済額が上がってしまう可能性がある点に注意が必要です。

個人再生については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
「個人再生と債務整理の違いは?デメリットや減額幅・条件などまとめ」

退職金を残したい、会社に知られたくない場合は専門家に相談を

自己破産や個人再生をする場合は、退職金の支給の有無によって財産として評価される金額が異なるほか、退職金見込額証明書や財産目録といった書類の準備も必要になります。

弁護士や司法書士に相談すれば、どのような書類や資料が必要なのかが明確になるだけでなく、会社に知られたくない、退職金をより多く残したいといった希望や状況に合った借金解決方法をアドバイスしてもらえます

日本弁護士連合会の調査では、自己破産や個人再生をした人のそれぞれ約98%が弁護士や認定司法書士などの専門家のサポートを受けていることがわかっています。

無料で相談を受け付けている法律事務所もあるので検討してみてはいかがでしょうか。

この記事のまとめ

自己破産をする場合、退職金の全部または一部が財産として評価され、処分の対象になります。

財産として評価される割合は、退職金の受け取り時期によって異なります。


  • 退職がまだ先の場合は、退職金見込額の8分の1が財産として評価される
  • 破産手続き中に退職予定の場合は、退職金見込額の4分の1が財産として評価される
  • すでに退職金を受け取っている場合は、全額が財産として評価される

また、自己破産の申立てには、裁判所に退職金見込額の証明書を提出する必要があります。

退職金を残しながら債務整理を行いたいといった希望がある場合は、弁護士や司法書士などの専門家への相談を検討してみるとよいでしょう。

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