2020.09.14更新

自己破産後も起業は可能!事業資金を融資してもらう方法もある!

自己破産しても起業できる?

自己破産後に起業する場合、何か制限はあるの?」

借金を返済できず自己破産に至った場合、その後再度起業してリベンジを果たすことはできるのでしょうか?

結論からいうと、自己破産をしても起業することはできます。

しかし、金融機関からの資金調達が難しくなるという制約もあります。

この記事では自己破産をすると、再度起業をするときどのような制限を受けるのか、自己破産後に起業する場合の資金調達方法、自己破産以外の債務整理方法について詳しく解説していきます。

自己破産しても起業は可能だが、ある程度の制約は残る

自己破産をしても、起業や会社設立が制限されるということはありません

ただし、自己破産する前と全く同じというわけにはいきません。

自己破産の手続き中と、手続き終了後に受ける制約について、詳しく解説します。

自己破産手続き中の制限

自己破産の手続き中は以下の制限を受けます。

一定の職業(資格)につくことができなくなる

一部の職業の営業免許や資格には、自己破産が欠格事由に該当するものがあります。

この場合も、自己破産の手続き終了後、免責が確定して復権すれば、その職業につくことができるようになります。

自己破産するとつけなくなる職業の例としては、以下のようなものがあります。

自己破産手続き中につけない職業の例

  • 弁護士、司法書士、行政書士などの士業の一部
  • 公務員の一部(公証人、公正取引委員会の委員、教育委員会の教育委員など)
  • 建設業を営む者、警備業を営む者・警備員、有価証券投資顧問業を営む者など

取締役や監査役から退任することになる

会社の取締役や監査役は、自己破産をすると委任関係が終了することになっているので、退任することになります(民法653条)。

ただし、いったん退任するだけで、株主総会などで再び選任されれば取締役に復帰することもできます

自己破産後も残る制約

自己破産の手続きが終わった後でも以下のような制約が残ります。

5〜10年間は新たな借入ができない

自己破産すると個人信用情報機関に事故情報が登録されます。

いわゆるブラックリストに載った状態です。

事故情報が消去されるまでの間は、金融機関からの新たな借入や、クレジットカードの新規作成・利用がとても難しくなります。

このため、起業するために資金を調達することが困難になります

一定の財産が処分されたところからの再スタートとなる

自己破産をすると、家や土地をはじめ、20万円を超える価値のある財産は処分することになり、現金や高額な預金などとともに借金の返済にあてられます。

資金的にはゼロに近いところからの再スタートとなるため、自己資金で起業したい場合は十分に資金を蓄えるための時間が必要になります。

事務所を借りるのが難しくなる

自己破産後でも賃貸物件を借りること自体は可能です。

ただし、自分自身は保証人にはなれないので別の保証人を立てる必要があります

また、事務所使用不可の物件を事業用に使った場合は、契約を解除される可能性もあるので注意しましょう。

自己破産後の起業で資金を調達する方法

自己破産をするとしばらくはいわゆるブラックリストに載ってしまうため、通常の借入をするのは難しくなります。

しかし借入方法が全くないかというとそうではありません。

自己破産後に再出発する人を支援するための公的融資を活用するという方法があります。

以下、詳しく解説していきます。

日本政策金融公庫の「再挑戦支援資金」

政府系金融機関である日本政策金融公庫は、自己破産した人や事業に失敗した人などに向けて「再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)」という制度を設けています

再挑戦支援資金の概要については以下のようになっています。

再挑戦支援資金の特徴(国民生活事業の場合)
利用可能者 新たに開業する、または開業後おおむね7年以内で、次のすべてに該当する人
  1. 廃業歴などがある個人、または廃業歴などがある経営者が営む法人であること
  2. 廃業時の負債が新たな事業に影響を与えない程度に整理される見込みがあること
  3. 廃業の理由・事情がやむを得ないものであること
使途 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金
融資限度額 7,200万円以内(うち運転資金4,800万円)
金利 担保不要の融資を希望する場合は基準利率2.16%~2.55%
(借入内容により異なる)
返済期間 ・設備資金20年以内(うち据置期間2年以内)
・運転資金7年以内(うち据置期間2年以内)
担保・保証人 想像の上決定

再挑戦支援資金を申し込む場合には、特に次の点に注意するとよいでしょう。

自己破産する場合は、免責決定を得ていること

自己破産をする人が2の条件を満たすには、まずは免責決定を得ることが重要です。

自己破産後、免責決定がなされていない段階での融資は難しいでしょう。

もし、任意整理や個人再生といった借金が残る形での債務整理を行った場合は、返済が新規事業に影響を及ぼすと判断されれば、融資を断られる可能性があります。

説得力のある事業計画書(創業計画書)をつくること

再挑戦支援基金の場合、申込者が一度失敗していることが条件となっていますので、事業計画などは厳しく見られる傾向にあります。

特に事業の見通しに関しては、資金繰り表を添付するなどして事業計画の実現性をしっかり示せるとよいでしょう。

このほか、過去に日本政策金融公庫の融資を利用していて返済の遅延などの「事故」を起こしていると、融資のハードルが上がる点にも気をつけてください。

要件を満たせば「新創業融資」を利用可能

再挑戦支援資金を利用する場合も、原則的にはある程度の自己資金と担保・保証人が必要と考えたほうがよいでしょう。

しかし、一定の要件を満たせば特例措置である「新創業融資制度」を使える可能性があります。

新創業融資制度を利用できれば、開業時や税務申告を2期終えていない人でも、無担保・無保証人で限度額3000万円(運転資金1500万円)までの融資を受けることが可能となります。

ただし、金利は少し上乗せになってしまうので注意が必要です。

なお、創業資金総額の10%以上の自己資金が必要とされていますが、要件を満たせば免除される場合もあります。

新創業融資制度の特徴
利用可能者 次の1~3のすべての要件に該当する人
  1. 創業の要件
  2. 新たに事業を始める人、または事業開始後税務申告を2期終えていない人
  3. 雇用創出などの要件
  4. ・雇用の創出を伴う事業を始める人
    ・現在勤める企業と同じ業種の事業を始める人
    ・技術やサービスなどに工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める人などのいずれか
  5. 自己資金の要件
  6. 新たに事業を始める方、
    または事業開始後税務申告を1期終えていない人は、
    創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる人
使途 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金
融資限度額 3,000万円(うち運転資金1,500万円)
金利 基準金利2.46%~2.85%
返済期間 再挑戦支援資金と同じ(設備資金20年以内、運転資金7年以内)
担保・保証人 原則不要
自己資金 創業資金の10%以上

信用保証協会などが「再挑戦支援制度」を設けている場合も

各都道府県の信用保証協会が行う「制度保証」の中には、再挑戦を支援する制度が用意されていることもあります

中には自治体と信用保証協会、金融機関が協力して融資制度を作っている場合もあるので、自治体や信用保証協会のホームページをチェックしてみましょう。

例えば、横浜市は廃業から5年未満で市の「再挑戦支援事業」の支援を受けている人を対象に、「創業おうえん資金(再挑戦)」の融資を行っています。

借入利率は固定金利の場合、3年以内2.0%以内で、借入限度額は運転資金と設備資金あわせて2,000万円までです。

自己破産以外の借金解決方法は?

ここまで自己破産後の起業についてみてきましたが、借金の種類や金額、安定した収入の有無によっては、自己破産以外の債務整理方法が適している場合もあります。

以下、詳しく解説していきましょう。

保証債務の整理は「経営者保証に関するガイドライン」を活用できる

会社の経営をしていた場合、会社が金融機関から借入を行った際の連帯保証を経営者個人が行っているケースがあります。

このような保証債務がある場合、「経営の保証に関するガイドライン」をうまく活用すれば、会社が破産したあと、経営者個人が自己破産せずに保証債務を整理することができる可能性があります

「経営者保証に関するガイドライン」とは、会社が借入をする際に経営者個人を保証人とすることなく借入したり、現在の保証債務を解除したりするためのガイドラインです。

中小企業庁、金融庁の後押しで日本商工会議所及び全国銀行協会が事務局となって、平成26年2月1日から施行されました。

●「経営者保証に関するガイドライン

「経営者保証に関するガイドライン」による債務整理は裁判所を通さずに行う私的整理にあたります。

そのため、債務があるすべての金融機関からの同意が必要となりますが、同意を得れば保証債務の免除や減額が可能となります。

その際、一定の財産(華美でない自宅等含む)を手元に残すことができ、ブラックリストには載らないというメリットもあります

「経営者保証に関するガイドライン」における保証債務整理
手続きの種類 私的整理
適用対象 以下の要件を満たす場合
  1. 主債務者が中小企業であること
  2. 保証人が個人であり、主債務者である中小企業の経営者等であること
  3. 主債務者である中小企業と保証人であるその経営者等が、弁済に誠実で、
    債権者の請求に応じて負債の状況を含む財産状況等を適切に開示していること
  4. 主債務者と保証人が反社会勢力でなく、そのおそれもないこと
残せる財産 一定の生活費等
(従来の自由財産99万円に加え、年齢等に応じて約100万円~約360万円)
を残すことや、「華美でない」自宅に住み続けられることなどが検討されうる
信用情報 事故情報は登録されない

継続的な収入があれば個人再生も選択肢に

個人再生とは、裁判所に再生計画の認可決定を受け、借金の大幅な減額を目指す手続きです。

以下のようなメリットがあるので、利用できそうか検討してみるのもよいでしょう。

個人再生のメリット

  • 借金の元本を大幅に減額できる
  • 持ち家や自動車、預貯金などを残せる可能性がある
  • 借金の理由が問われない
  • 職業・資格の制限がない
  • 差押えの停止が可能

ただし、個人再生では借金全額が消えるわけではありません。

借金を5分の1〜10分の1程度(最少額は100万円)にまで減額して返済していくことが条件となりますので、返済に回せるだけの安定した収入がないと利用できません

会社を自己破産してしまっている場合は、まず安定した収入を確保する必要があります。

個人再生については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
個人再生と債務整理の違いは?デメリットや減額幅・条件などまとめ

ただし、個人再生では借金全額が消えるわけではありません。

借金を5分の1〜10分の1程度(最少額は100万円)にまで減額して返済していくことが条件となりますので、返済に回せるだけの安定した収入がないと利用できません

会社を自己破産してしまっている場合は、まず安定した収入を確保する必要があります。

個人再生については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
任意整理とは|メリット・デメリットを比較してベストな解決方法を知る

経営者の自己破産は弁護士や司法書士に相談を

一般的に経営者が自己破産する場合は、会社の破産と同時に検討されるケースが多いといえます。

会社の債務整理も絡むとなると複雑になる上、個人の借金であっても経営者の場合は多額になりがちです。

弁護士や司法書士に相談すれば、その後の起業まで視野に入れた場合、どのような債務整理方法が適しているのかについて、適切なアドバイスをもらえます

また、必要書類の作成や裁判所とのやり取りなどについても、代行やサポートをしてもらえるでしょう。

借金整理後の起業を望んでいるものの自己破産をすべきか悩んでいる場合は、弁護士や司法書士への相談を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事のまとめ

これまで解説してきたように、自己破産をしても起業すること自体は可能です。一方で次のようなデメリットがあるのも事実。


  1. 自己破産後の5〜10年間は金融機関からの借入が難しくなる
  2. 一定額以上の財産が処分されるため、自己資金で起業するには資金を蓄える時間が必要になる
  3. 事務所を借りるのが難しくなる

1については再挑戦支援資金など、自己破産後も利用できる制度融資を活用するとよいでしょう。

2,3については財産を手元に残せる方法を検討してみるのも手です。

いずれにせよ経営者の債務整理は金額も大きく、権利関係も複雑になる場合が多いので、弁護士や司法書士といった専門家に相談したほうが手続きがスムーズです。

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