2020.10.16更新

FXが原因の借金も自己破産できる!借金免除のための注意点とは?

FXが原因の借金は、自己破産できない?
このままずっと、返済しないといけないのかな

そう思い込み、不安になっている人はいませんか。

確かにFXが原因の借金は、自己破産をしても免責されない「免責不許可事由」にあたります。

ところが現実には、裁判所が免責を認めてくれる場合が多いのです。

本記事では、FXが原因でも本当に自己破産ができるのか、また自己破産を申し立てる際の注意点などを解説します。

借金の原因がFXでも自己破産は可能

結論からいえば、FXが借金の原因だとしても、自己破産によって借金の支払いが免除される可能性はあります。

FXが原因の借金は、自己破産による借金の支払い免除が認められない「免責不許可事由」に該当しますが、実際には「裁量免責」によって認めてもらえるケースもあるのです。

そもそも免責不許可事由とは、破産法252条第1項に定められた借金が免除されない事情を指します。

主な免責不許可事由

  • 借金の原因が浪費やギャンブル、投機など
  • 意図的に財産を隠したり壊したりした
  • 破産申立前の1年間に嘘をついて借入した
  • 借入金で商品を購入し、損すると知りつつも不利な条件で換金した
  • 破産申立から7年以内に免責を受けた
  • 裁判所や破産管財人の調査に非協力的だった

ただし、免責不許可事由があっても、お金を借りた人(債務者)の事情を考慮し、裁判官の裁量によって免責を認めるケースがあります。それが裁量免責です。

破産法252条第2項

前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。

実際にFXが原因で自己破産をした人がいることを示すデータも存在します。

日弁連が行った2014年の調査によると、自己破産した人が多重債務に陥った原因の約3.9%がギャンブル、約1.2%が投資となっています。

ギャンブルや投資で借金を返せなくなった人も、自己破産の免責を受けているのです。

■FXが原因で自己破産した人の例<事例紹介>
実際にFXが原因の借金を自己破産した人の体験談を紹介します。

Aさんのケース
年齢・性別 職業 借金額
30代・女性 主婦 300万円

・エピソード

クレジットカードで作った借金を返済するためにFXを始めました。

最初は儲かることもあったのですが、やがて損をするように。

やむなく別のカードローンでお金を借りて返済するうちに借金が膨らみ、作れるカードもなくなってしまいました。
自己破産を決めたのは「自分が変わらないとまずい、カード中心の生活をやめたい」と思ったからです。

弁護士の方に相談すると「毎月返済するよりも、一度借金をなくして、その分貯金したほうがいい」とアドバイスをされました。

自己破産して、今では月々の返済にビクビクせずに済んでいます

FXが原因で自己破産を申し立てる場合に注意すべきこと

前述のように、FXによって借金をした場合も、裁量免責が認められるケースが多くあります。ただし、確実に免責されるとはいい切れません。

裁量免責を受けるために注意すべき点をまとめました。

(1)自己破産の手続き中にFXやギャンブルをしない

自己破産の手続き中に、新たな借入をしてFXやギャンブルをするようなことがあれば、間違いなく不利になります。

裁量免責を求める場合、「経済的更正の見込みがあるかどうか」が裁判所の判断のポイントのひとつになります。

なぜなら自己破産は、破産者の経済的更生、つまり生活を立て直してもらうことが目的だからです。

もし本人に経済的更生の意志がなければ、「裁量免責をしても意味がない」と裁判所が判断しかねません

逆にいえば、家計を改善する、借金の原因そのものを解消するなどして経済的更生の意志を示すことができれば、裁量免責が認められる可能性は高まります。

(2)財産隠しをしない

財産隠しは絶対にしてはいけません。

財産を故意に隠す行為は、免責不許可事由に相当し、自己破産が許可されません

のみならず、「詐欺破産罪」(破産法265条)として処罰される可能性もあります。

どんなにうまく隠したつもりでも、自己破産の手続きの過程で発覚する可能性が高いでしょう。

万一、免責が許可されたとしても、後で発覚すれば同様に罪に問われます。

財産隠しに手を出すのは「自己破産した後の生活を守りたい」という気持ちからかもしれません。

しかし後述しますが、自己破産しても生活に必要な最低限の財産(自由財産)は残ります。

財産隠しのような小細工はせず、正直に申告しましょう。

(3)裁判所や破産管財人に非協力的な態度は取らない

裁判所や破産管財人に非協力的な態度をとると、裁量免責が認められない可能性が高まります。

非協力的な態度の例

  • 裁判所への予納金を支払わない
  • 審尋や破産管財人との面接、債権者集会に出頭しない
  • 虚偽の内容を申告する

破産手続きに非協力的な態度は免責不許可事由に相当するからです

裁量免責を認めてもらうためには、破産手続きに協力することが不可欠です。

裁判官や破産管財人には誠実に対応し、更正の意思があることを示しましょう。

(4)前回の免責から7年以内に申立てを行わない

過去7年以内に免責許可を受けている場合は免責不許可事由に該当してしまいます。

絶対に自己破産できないというわけではなく、裁量免責によって許可がおりる可能性もありますが、1回目の借金の原因もFXである場合、2回目以降の自己破産で免責許可を得られる可能性は低いとされています。

このような場合は、任意整理や個人再生など別の債務整理方法を検討するのも1つの手です。

自己破産のデメリットを知っておこう

自己破産の大きなメリットは、すべての借金返済責任が免除されることです。

しかし、デメリットがあることも忘れてはいけません。

ここからは、自己破産のデメリットを正しく学びましょう。

(1)破産時に持っていた財産は原則的に処分される

自己破産をするには、所有していた財産を処分しなければなりません。

破産法34条1項により、破産者が破産手続き開始の時に持っていた財産はお金を貸した人(債権者)に配当される、と規定されています

破産法34条1項

破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。

ただし、「すべての財産」を処分しなければならないわけではありません。

もしすべての財産が処分されてしまったら、破産者は以降、生活ができなくなってしまいます。

それでは経済的な更生など望めないでしょう。

実際のところ、自己破産において処分されるのは、以下の財産のみです。

自己破産で処分対象になる財産の例

  • 家や土地
  • 高額の預金
  • おおむね20万円以上の価値がある財産(※)

※各地方裁判所によって額は異なる。

それ以外の、生活に必要な最低限の財産(自由財産)は原則的に処分の対象となりません

自己破産で残せる財産の例

  • 家財道具
  • 電話加入権
  • おおむね20万円未満の財産(ローンがなく査定価値が20万円未満の自動車など)
  • 99万円以下の現金
  • 退職金の一部

(2)破産手続き中は一部の資格や職業を失う

自己破産の手続き中は、一部の資格・職業が制限されます。

これを「資格制限」といいます。

資格制限は、破産法による規定ではなく、各資格の取得要件等を定める法律に規定されているものです。

自己破産の手続き中に制限される資格・職業の例

  • 士業…弁護士、税理士、司法書士、弁理士、公認会計士、不動産鑑定士など
  • 金融関連業…貸金業者、質屋・古物商、生命保険募集人など
  • 公務員…都道府県公安委員会、公正取引委員会、教育委員会などの委員・委員長
  • 団体企業の役員…商工会議所、金融商品取引業、信用金庫、日本銀行などの役員
  • その他…旅行業務取扱管理者、警備員、建設業、風俗業、廃棄物処理業など

ただし、資格そのものが剥奪されるわけではありません。

免責許可決定が確定すれば、資格制限は解除されます
これを「復権」といいます。

(3)連帯保証人・保証人へ請求が行く

自己破産をすると破産者の支払責任は免除されるものの、連帯保証人・保証人の支払義務はなくなりません

つまり、破産者にかわって連帯保証人・保証人が借金を払わなければならないのです。
それも原則的には一括返済を求められます。

したがって、連帯保証人・保証人がいる場合、彼らに迷惑をかけることは避けられません。

自己破産をすると決めたら、早い段階で連帯保証人・保証人に状況を説明・謝罪するべきでしょう。

(4)一定期間クレジットカードの利用や新たな借入ができなくなる

自己破産をすると、次のような影響もあります。

自己破産の影響

  • クレジットカードの作成・利用ができなくなる
  • ローンやキャッシングなどによる新たな借入ができなくなる
  • 保証会社を通した賃貸住宅の契約ができなくなる
  • 携帯電話・スマホ購入の際に分割払いができなくなる

というのも、自己破産をすると個人信用情報機関に事故情報として登録され、これにより「ブラックリストに載った」状態になるからです。その期間は5〜10年です。

もっとも、免責対象となった銀行とは別の銀行の口座を開設・利用する、保険に加入する、海外旅行へ行くなどは可能です。

FXが原因の場合は手続きが複雑になり、費用も高くなる可能性大

借金の原因がFXの場合、自己破産の申立てにかかる費用が大きくなる可能性大です。

これには、自己破産における2つの手続きが関係しています。

自己破産は「同時廃止」と「管財事件」に分けられますが、FXによる借金は管財事件にあたります。

管財事件の場合、破産者の財産を調査し、現金への換価、債権者への配当を行う「破産管財人」が裁判所によって選任されます。

この破産管財人への報酬を破産者本人が負担しなければならず、そのほかの費用も含めて、裁判所に納める「予納金」が高くつくのです(※)

また、同時廃止に比べて必要書類も多くなり、手続きも複雑になります。

以下で詳しく見ていきましょう。

※裁判所によっては、事件に応じて「少額管財」といった通常の管財事件よりも安い予納金を設定しているところもあります。

自己破産の手続きには2種類ある

自己破産は「同時廃止」と「管財事件」に分けられます。

同時廃止と管財事件の違い
手続きの種類 同時廃止 管財事件
財産 20万円以下 20万円以上
免責不許可事由 ない
(若干ある場合を含む)
ある
期間 短い 長い
費用 安い 高い
裁判所に行く回数 少ない 多い

同時廃止とは、破産手続き開始後に破産事件が廃止されるものをいいます。

20万円以上の財産がなく、免責不許可事由の調査が必要ない場合は同時廃止として扱われます。

財産や免責不許可事由の調査の必要がないため、手続き終了までの時間も短めです。

対して、管財事件とは、裁判所により破産管財人が選任された上で破産手続きが進むものをいいます。

20万円以上の財産がある場合、または免責不許可事由の調査が必要な場合は管財事件として処理されます。

FXが原因の場合は免責不許可事由に相当するので、管財事件になります

管財事件の場合の注意点

管財事件の場合は、破産管財人による財産の調査や換金・債権者への配当などの手続きのための費用が必要になります。

そのため、裁判所に納める予納金は50万円以上となるのが一般的です。

自己破産にかかる費用については、以下の記事でさらに詳しく紹介しています。
自己破産費用が払えない!そんな時に取るべき4つの方法

また、FXの取引明細1〜2年分が必要となるなど、同時廃止事件に比べると提出書類も増えます

自己破産の必要書類については、以下の記事でさらに詳しく紹介しています。
自己破産の必要書類を一覧で確認!注意点やバレない入手方法も解説

弁護士や認定司法書士に相談してみるのも手

ここまで見てきように、FXが原因でつくった借金であっても、裁量免責が認められれば返済を免除してもらえます。

もっとも、「100%裁量免責が認められる」わけではない点は、注意が必要です。

もし、以下のような場合は弁護士や認定司法書士に相談してみるのも1つの選択肢です。

  • 自分が裁量免責の対象になるのか確認が持てず心配
  • これから自己破産手続きを進めていくために具体的な助言が聞きたい
  • 自己破産の必要書類や手続きが複雑で困っている

自己破産に関する無料相談を行っている法律事務所もあります。
一度検討してみてはいかがでしょうか。

この記事のまとめ

FXが原因の借金でも、自己破産は可能です。

ただし、免責不許可事由に相当するため、裁判所から裁量免責を認めてもらう必要があります。

裁量免責を受けるためには、以下の点に注意が必要です。

  • 自己破産の手続き中にFXやギャンブルをしない
  • 財産隠しをしない
  • 裁判所や破産管財人に非協力的な態度は取らない
  • 前回の免責から7年以内に申立てを行わない

また、自己破産の中でも管財事件となるため、必要書類が多くなり手続きも複雑になる傾向があります。

具体的な助言を受けたかったり、手続きの負担を減らしたかったりする場合は、弁護士や認定司法書士への相談を検討してみるのもよいかもしれません。

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